気候変動問題に対する取り組みでは、世界各国の政府・企業その他団体がそれぞれの立場で独自に取り組む中にあって、参加国全国が「平等に課せられる規制」について規定が難しくなっており、排出大国の米国、中国や発展途上国、議定書が制定される前から排出削減に取り組んできた国などでの一致した合意が難しくなっていることが伺える。このような中にあって、世界各国が気候変動に伴いより良い世界、健康な世界となるための機会を模索する同会議において、一部宗教者からは、気候変動問題への取り組みの姿勢というものは、最終的には「神を信じる信仰があるか」どうかにかかっており、科学的な問題としてのみ解決できる問題ではないことの指摘がなされている。
COP17には世界194カ国が会議に参加し、新たな枠組みの創設に向けて合意がなされた。COP17が開催された際、クリスチャンエイド気候変動問題に関するシニア助言役のモハメド・アドウ氏は、会議参加各国が聖書に出てくる「ノアの箱舟」の話を基に政策決定に踏み切ることを勧めていた。気候変動問題では、最も気候変動の原因となる物質を産出していない貧困国、土着民族が最も先に被害を受けることになる。そのため全ての会議参加者が隣人のために生きるという姿勢が重要であることが指摘された。
中央アメリカに位置するホンジュラス共和国のオスカー・ロドリゲス・マラディアガ枢機卿は、気候変動問題が飢餓問題や貧困者の苦しみを増す原因となっていることをカトリック・ニュースサービスを通して指摘した。マラディアガ氏は気候変動問題について「科学的解析によってのみ解決できる問題ではありません。(気候変動問題を語るとき)私たちは人類全体について、また人類の苦しみの問題について語ることになるのです。聖書に書かれているもっとも始めの部分で、創造物の管理は人類に任せるようにさせたことが書かれてありますから、気候変動問題はつまるところ信仰の問題であると言えるでしょう」と述べている。