同集会において、南アフリカの平和運動家で南アフリカ聖公会大主教のデズモンド・ツツ氏は人類の住む地球が危機的な影響を受けており、人類の生存をかけた問題である気候変動問題対策について「地球は私たちが住める唯一の場所です」と訴えた。
同集会では諸宗教指導者が集い、COP17で各国にとって公正で大胆かつ拘束力のある協定がなされることで、気候変動問題に抜本的な対策がなされるよう呼びかけられた。
同集会を主催した一人である南アフリカ信仰共同体による環境研究所所長で教会の司祭でもあるジェフ・デイヴィーズ氏は「私たちには信仰があります。アフリカは信仰の大陸です。今私たちはここにそれぞれ異なる伝統的信仰を持つ宗教者として集っており、(気候変動という)パラダイムシフトに直面して、道徳的・霊的な呼びかけをしようとしています。今こそ気候変動の正義のために声を上げなければなりません」と述べた。
同集会でツツ氏は「私たちは信仰があります」と題した20万人の署名を懇願するメッセージを伝えた。同署名を集めた書類はCOP17議長のヌコアナ=マシャバネ氏らへ送られるという。マシャバネ氏は、同書類が送られることを支持し、「皆様の懇願は真剣に取り扱われるでしょう」と述べている。同集会では、気候変動問題はキリスト教徒、ユダヤ教徒およびイスラム教徒すべてにとって懸念すべき問題であることが強調された。
アイルランド共和国の前大統領で、前国際連合人権高等弁務官のメアリー・ロビンソン氏は、COP17でジェンダー問題、農業問題、人権問題および気候変動の正義に関して中核にある問題として扱われることを呼びかけた。
世界教会協議会(WCC)総幹事のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト博士は同集会に諸宗教指導者らとともに出席し、WCC加盟諸教会を代表して挨拶を行い、「気候変動の正義を表す時期がまさに今である」ことを強調するメッセージを伝えた。
COP17では、温室効果ガス削減義務につながる議論への参加をこれまで拒んできた中国が京都議定書以降の温暖化対策の枠組みについて議論に同意する姿勢を示していることを4日のCOP17内の記者団の取材で明らかにしている。2020年前後からの新たな枠組み(ポスト京都)において温暖化対策に着手することが、主要各国の間で調整されている。
なお国立環境研究所(茨城県つくば市)は5日、2010年の世界の二酸化炭素排出量および待機中の二酸化炭素濃度が世界金融危機からの回復に伴い、記録的水準に上昇したことを発表した。同研究所の発表によると、2001年に発足した国際研究計画であるグローバルカーボンプロジェクト(GCP)は、世界金融危機によって2008年~2009年に減少した世界の二酸化炭素排出量が、2010年では前年比5.9パーセント増という記録的な増加に転じたことを明らかにしたという。
二酸化炭素急増の背景としては、新興経済圏における二酸化炭素排出量が急増していることと、経済先進国の排出量が増加に転じたことが挙げられている。2010年に世界の二酸化炭素排出量増加に最も大きく影響したのは、中国、アメリカ、インド、ロシア連邦および欧州連合で、かつ新興経済圏からの排出量も依然として増加を続けているという。2010年の待機中の二酸化炭素濃度は、少なくとも過去80万年の記録の中で最も高い水準である389ppmに達したという。