日本キリスト教協議会(東京・新宿区、以下NCC)は21日、北朝鮮人道支援に対する見解を公式サイトで発表し、物資による支援を今後も継続する意向を発表した。 国際ネットワークを通じて諸団体と連携し支援してきたことを強調する一方、「日本の植民地支配、軍事侵略への沈黙・加担、戦後責任の告白に立ち」、アジア諸国との協力を大切にしたいとの認識も明かした。
発表によると、1995年以降、NCCは加盟教会・団体から募る「わかちあい募金」の一部で、香港キリスト教協議会の協力を得て、粉ミルクなどの支援物資を香港で購入し、北朝鮮に送っている。物資は北朝鮮の朝鮮基督教連盟(KCF)を通して現地に届けられるという。
KCFは北朝鮮の「憲法が保障する宗教の自由に基づき、「(北朝鮮)政府との協議の上で」聖書印刷、教会堂の建築、牧師など教職の任免を行っている組織であるという。また平壌(ピョンヤン)にある2つのプロテスタント教会と連絡を取り、キリスト教教育や社会奉仕運動を行っていると明かした。
また、北朝鮮の人道支援に関するNCCの基本的な姿勢を、NCC創立50周年宣教会議の宣言(1998)を引用して「日本の植民地支配、神社参拝の強要、軍事侵略への沈黙・加担、戦後責任の告白に立って、アジアの民衆・キリスト者との交流、協力を大切に考えること、その具体的な働きの一つとして北朝鮮民衆への食料援助を重視すること」と説明。朝鮮半島の統一や日朝国交回復を求め、北東アジアにおける平和と和解の働きを含む活動として位置づけている。
拉致問題や政治の場面で北朝鮮への人道支援の継続に否定的な見方があることについて、「人道支援は国家の干渉を受けずにできることはほとんどない」として、人道的な活動には国際機関やNGO(非政府組織)らによる根気強い働きかけが不可欠であると強調した。
人権擁護団体などの調査によると、平壌にある政府公認の教会は、北朝鮮に宗教の自由があることを強調するために政府が建設した宣伝用教会であることが国際的に知られている。所属牧師や信徒も全て政府が派遣した労働党員であるという。政府は地下・秘密教会の監視や取り締まり、信徒の処刑や強制労働を続けている。