最近英国医師界と中絶合法化反対グループとの間で巻き起こった意思能力法案に関する論争を受け、英国首相トニー・ブレア率いる労働党は末期患者がより多くの苦痛緩和治療を受けられるようになると誓約した、と15日(日本時間16日)英クリスチャントゥデイ紙が報じた。
13日ブレア首相により発表された労働党声明書に際し、英国の中絶合法化反対グループは労働党が10日前に意思能力法案を通過させたときの安楽死支持の姿勢と同様、この法案の定義が偽善的であるとして非難した。
5日、問題の意思能力法案が英国議会により可決された。同法案は意思決定能力を失った患者の代わりに決定権を持つ個人が指名されることを可能にする。中絶合法化反対グループの多くがこの法案の不履行により安楽死が合法化されることを懸念している。
労働党が総選挙前に安楽死支持法案を押し通したことを受け、SPUC(胎児生命保護協会)書記長のポール・タリーは次のように述べた。「この新しい法案、意思能力法は栄養、水分の差し止めによる何千人もの患者の死を容認するものです。この患者は水分非摂取により約2週間で死に至ります。この情況では苦痛緩和治療にかかわる費用が補償されていたとしても、償い金のようにしか受け取れません。この方法で末期患者に訴えることは大いに偽善です」
現在英国の中絶合法化反対グループの連合体による安楽死反対運動は積極的安楽死(例:致死薬の注射)だけでなく消極的安楽死(例:臨死患者にたいする摂食、水分摂取の停止)に対しても行われている。