南太平洋に位置するポリネシアの王国トンガは、世界でも稀有(けう)な歴史を持つ国だ。1839年、当時の国王ジョージ・トゥポウ1世は、この国を公式に「天の神」へとささげたと宣言した。現在も憲法によって※安息日は聖なる日と定められ、国民のほとんどがキリスト教徒を自認している。しかし、その厚い信仰の伝統の影で深刻な霊的課題が浮き彫りになっている。(※安息日=日曜日としているが、聖書的な安息日は金曜日の日没から土曜日の日没まで)
現代のトンガが直面している最大の課題は、信仰の「形骸化」と「形式主義」だ。多くの国民にとって教会へ通うことは、霊的な渇きによる自発的な営みというよりは、社会的な義務や文化的な慣習の一部と化している。聖霊と御言葉による内面的な変革よりも、儀式の遵守や外見的な伝統が優先され、真の救いの喜びが失われている実態がある。
さらに、モルモン教(LDS)などの異端派の浸透が極めて著しい。彼らは豊富な資金力と、教育や社会福祉への支援を背景に、伝統的な諸教会から多くの人々、特に次世代の若者たちを引き寄せている。現在、トンガにおけるモルモン教徒の割合は人口の約2割近くにも達しており、世界で最もその比率が高い国の一つとなっている。
また、より良い生活環境を求めてニュージーランドやオーストラリア、米国などへ移住する「国外流出」も教会に影を落とす一因だ。海外に移住したトンガ人たちが、移住先で世俗化の波にのまれ、母国で守ってきた信仰を失ってしまうケースが後を絶たない。
このような現状の中、トンガの教会には、単なる伝統の継承ではなく、聖霊による真のリバイバルが求められている。形式的な「外側」を維持することにきゅうきゅうとするのではなく、人間を内側から変える「聖霊の火」が再び燃え上がり、一人一人がキリストとの人格的な交わりへと立ち返ることが不可欠だ。
トンガのために祈ろう。形骸化した伝統から脱却し、一人一人が聖書の真理に基づいた内的な新生を体験するように。異端の教えの惑わしから信仰が守られ、健全な弟子訓練が全土でなされるように。そして、国外に散ったトンガの人々が、移住先においても主への信仰を固く守り、証しを立てることができるよう祈っていただきたい。
■ トンガの宗教人口
プロテスタント 63・9%
カトリック 13・7%
異端派 19・7%
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