1874年から1970年まで英国が統治していたフィジーは、独立後の平穏な日常や人種間のバランス、相対的な調和を保っていたが、それは軍事クーデターによって常に破壊されてきた。
1987年と2000年のクーデターでは、フィジーの民族的利害がクーデターの中心にあり、選挙で選ばれたインド系勢力の強い政府を弱体化させた。2006年のクーデターは、汚職と人種差別のまん延を止めるという口実で起きたが、これは以前のクーデター計画者に与えられた恩赦に対する報復であり、フィジーの民族的利益が再び確立するのを防ぐためであった可能性が高い。
どのケースでも、クーデターは国際社会から非難され、英連邦からの除名・資格停止や制裁措置がとられた。悲しいことに、このような措置がさらなるクーデターを防ぐことはないようだ。このような措置で最も苦しむのは、あらゆる人種の貧しい人々であった。
フィジーは太平洋で最も発展した経済を確立した国の一つで、主に観光と砂糖産業で成り立っている。一貫した財政赤字と貿易赤字のため、フィジーは一人当たりの福祉的援助額が世界最大級である。インド人共同体はほぼ全ての商業活動を支配しているが、長期的な安全保障上の問題を抱えている。またフィジーの人的資源や頭脳流出も深刻である。
フィジーのプランテーションにおける英国の植民地支配では、まず奴隷が輸入され、その後インドからの年季奉公の労働者が使われるようになった。しかし、フィジーの原住民とインド系フィジー人との間の人種的分裂は依然として続いており、この2つのグループの間に共通の基盤を見つけることは容易ではない。
フィジーの先住民は、2006年のクーデター以来、共同体の所有権や土地の管理など、自分たちの価値観や社会構造が政府の政策によって脅かされていると感じている。インド系フィジー人は、1987年と2000年のクーデターにまつわるトラウマをいまだに感じている。どちらのグループも、普通の生活を送れるようになることを望んでいる。インド系フィジー人やその他の少数民族が公正な待遇と機会を享受できる一方で、フィジー先住民が自分たちの土地で繁栄できる道を祈ろう。
事実上の国教として機能していたメソジスト派は、政治機構におもねるあまり、福音の力を減退させた。そのため、教会に分裂をもたらし、他教派に移る者が後を絶たない。
そんな中、近年はペンテコステやカリスマ派が豊かな実を得ている。メソジストや聖公会、カトリックの中においてさえ活躍しているのはカリスマ派だ。フィジーのインド系ヒンズーグループは太平洋群島地域の中で最大の非キリスト教系コミュニティーといわれているが、今、彼らの中から次々に改宗者が起こされている。
このリバイバルを通して、個人や共同体、環境に大きな変化がもたらされているのだ。彼らの継続的なリバイバルとリーダーシップの育成のために祈ってほしい。また、これら新生したキリスト者がフィジーの人種差別の壁を打ち壊し、この国に真のキリストにある平和をもたらすよう祈っていただきたい。
■ フィジーの宗教人口
プロテスタント 45・9%
単立 10・6%
カトリック 11・6%
英国教会 0・8%
ヒンズー 27・8%
イスラム 5・7%
無宗教 0・6%
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