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ジョン・バンヤンの生涯

天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(12)牢獄につながれて

2023年6月14日18時03分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(1)鋳掛屋の子+
ジョン・バンヤン(1628〜88)の肖像画(英国立肖像画美術館所蔵)

鋳掛屋をしながら説教をするバンヤンの姿に人々の注目が集まり、やがて名声は中部諸州に鳴り響いた。人々は、彼の話を聞くためにひきもきらさず店にやって来て、中には修理の必要がない鍋や釜を抱えて来る者もいた。

バンヤンは、仕事場だけでなく、路地でも、納屋でも、森の中でも――どんな場所でも福音を語った。きちんとした教育を受けてない彼は、教理も神学も分からなかったので、ただ罪の泥沼から救い出された自分の体験談を語るだけだったが、その単純、明快なメッセージが、逆に人の心を打ち、引きつけるのだった。

1660年5月。チャールズ2世の即位とともに、世は再び王政復古となり、国教会以外の教会で礼拝をする清教徒(ピューリタン)たちに対する迫害が始まった。

その年の11月12日。バンヤンの所に突然警官がやって来た。そして彼は、国教会の牧師でないのに教会以外の場所で説教をしているという理由で逮捕されたのである。

「何かの間違いではないでしょうか。この人は政治のことなど何一つ分からない鋳掛屋の職人でございます」。妻のエリザベスは追いすがって哀願したが、警官は邪険にその手を振り払って、彼を連行していった。

バンヤンは、ベッドフォード州の南方13マイル先にあるロウア・サムセルという村の治安判事フランシス・ウィングイトの家に連れて行かれた。そして、二度と再び説教をしないという決定書に署名するよう強要されたが、彼は頭を横に振って答えた。

「神様が何の力もない私をご用のために用いてくださったのです。私は救われた喜びを皆さんに語るしかありません」。何度強いられても、彼の決意は変わらないので、ついに「ベッドフォード州刑務所」に投獄されたのだった。

ここは古い橋のほとりの小さな留置場だった。7週間をここで過ごしてから、今度は「ベッドフォード・ハーン礼拝堂」で裁判が開かれた。この時、ジョン・ケリング裁判長がバンヤンの尋問を行って、3カ月の禁固刑が確定した。

その後、ベッドフォード市長になることが予定されているポール・コップという書記官が長時間面接して説得に当たったが、彼は相変わらずこう言うのだった。

「私は神様から語りなさいと命じられている限り、福音を語ることをやめません」。「あんたは頑固な人だ。意地を張れば、ますます刑が重くなるだけだぞ」。「それでも、構いません」。バンヤンはきっぱりと言うのだった。

妻のエリザベスはちょうど出産を迎えたときだったが、夫の逮捕、投獄に衝撃を受けて流産してしまった。しかし彼女は気丈にも、泣き悲しむ子どもたちをこう言って慰めた。

「大丈夫よ。お父さんは神様のご用がおありなのだから、きっとイエス様が助けてくださるわ。お母さんはこれから警察の人たちに会って頼んできますからね」

そしてエリザベスは、教会の人たちに子どもたちを預かってもらい、夫の釈放を求めて駆け回り始めた。彼女は政界やキリスト教界の実力者に会いに行き、夫が政治に何の関係もないことを必死で訴えたが、にべもなく追い返されてしまった。

そして、最後の頼みの綱として、彼女は治安判事のマシュー・ヘイルに面会を求めたが、そのかいなく、再び裁判が開かれ、バンヤンに12年間の禁固刑が確定したのだった。1661年12月のことだった。

バンヤンが最初に閉じ込められたのは、ベッドフォード市を流れるウーズ川の橋のほとりにある小さな留置場だったが、刑が確定すると、ベッドフォードのハイ・ストリートとシルヴァ・ストリートが交差する所にある州刑務所に移された。

「ここは、これに比べたら最もひどい牢獄も宮殿と言われるほど陰惨な土牢で、横たわったままの生活を強いられていた」とある人がバンヤンたち囚人の姿を見て言ったほど劣悪な場所だった。

しかしこの悲惨な場所にあっても、神の恩寵は豊かに注がれていた。今はベッドフォード市長となっているポール・コップは、この刑務所で顔が利く人間だったので、尋問した際に好意を持つようになったバンヤンの処遇について、できる限り恩情的に、大切に扱ってほしいと刑務所長のバーローに頼んだのだった。

そのため、バンヤンは別格に扱われた。彼はここで家族や友人と面会することができ、また、彼らに差し入れてもらった書物を読むことも、書き物をすることも許されたのだった。

バンヤンは、聖書とジョージ・フォックスの『殉教者列伝』を熱心に読み、心の支えとした。

*

<あとがき>

人の人生は、よく波間にただよう舟に例えられますが、バンヤンほど歴史にほんろうされる人生を送った人も珍しいでしょう。すさんだ生活を送っていた鋳掛屋が、図らずもクリスチャンの女性と結婚して清教徒(ピューリタン)となり、さらにバプテスト教会に導かれ、説教者となったのです。

しかしながら、歴史は1660年5月に覆り、ひとたび信仰の自由を得られたピューリタンたちはチャールズ2世のもと激しい迫害を受けるようになりました。バンヤンの所にもある日警官がやって来て、国教会以外の教会で説教をしているという理由で逮捕され、「ベッドフォード州刑務所」に投獄されたのでした。

ここは「この場所に比べたら最もひどい牢獄も宮殿のように思える」と評された陰惨な土牢でした。ここでは全ての囚人が、横になったままの姿で日々の生活を強いられたのでした。

しかし、この最低の場所にも神の恩寵は豊かに注がれ、バンヤンの使命が果たせるよう準備がなされていたのでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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