新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以降、米国では数十校の大学が閉鎖や合併を余儀なくされたが、そのうち18校がキリスト教系大学だったことが最近の報告書(英語)で明らかになった。
報告書は、高等教育関連メディア「ハイヤー・エド・ダイブ」(HED)が15日に発表した。報告書は、この減少には新型コロナウイルスのパンデミックに加え、大学進学費用の高騰、州財政の停滞、高卒入学者の減少などの要因が影響していると指摘している。
21カ国185以上の教育機関が加盟するキリスト教高等教育擁護団体「キリスト教大学評議会」(CCCU)のアマンダ・スタッゲンボルグ最高コミュニケーション責任者(CCO)は、この傾向はあらゆる大学に影響しているとし、世俗的な大学と宗教的な大学の両方が入学者数の減少を経験していると語った。
スタッゲンボルグ氏は、出生率の低下により高卒者が減少していることや、高等教育を受けようとする高卒者が減少していることなどを、複数ある減少の理由として挙げた。
米国でキリスト教系大学の入学者数が減少し始めたのは、公立大学が学生数の減少を経験し始めてから6年後の2016年。スタッゲンボルグ氏は、全米教育統計センター(NCES)が昨年5月に発表した報告書を挙げ、学部教育機関の総入学者数が09年から20年の間に9パーセント減少したことを指摘した。この報告書は、20年の減少の大半はパンデミックが原因だとしている。報告書はまた、これとは対照的に20年から30年の間には、学部の総入学者数は8パーセント(1590万人から1710万人に)増加すると予測している。
さらにスタッゲンボルグ氏は、高等教育の入学者数減少の背景にあると考えられる理由について取り上げている「多様性と遠隔学習:非営利のキリスト教系私立大学におけるオンライン入学とマイノリティー入学の関係に関する探索的研究」と題する研究を示した。
この研究によると、非営利の私立大学は、18歳から24歳の入学者数減少の影響を、「より強固な学問的選択肢」を持つ大規模な公立大学よりも強く感じているという。「出生率の低下、全国的な人口動態の変化、大学間の競争、そして好調な経済が、従来の全寮制大学での経験を求める新規高卒者の減少をもたらした」と、研究は指摘している。
スタッゲンボルグ氏は、特にキリスト教系大学は、自分たちの価値観をアピールし、世俗的な大学よりも信仰に基づく大学に通うことで得られるものを示すことで、入学者数を増やすことができると考えている。
「キリスト教系高等教育の価値を伝えるのに、これほど適した時期はありません」とスタッゲンボルグ氏は言う。「信仰はキリスト教の高等教育に根ざしており、学生は神から与えられた才能と賜物を、その大学で得た学習スキルと組み合わせて、その召命や職を生きるために使うように召されているのです」
米キリスト教メディア「クリスチャンポスト」は今年1月、米首都ワシントンの米国教育評議会(ACE)で開催された「宗教大学の運命」(英語)と題する会議について報じた。そこでは、複数のパネリストにより、宗教大学がその宗教的アイデンティティーに寄り添うことを奨励し、いかにして入学者を増やすことができるかについて話し合われた。また、地元企業との提携や、学生が地域社会のために活動できるようにすることで、キャンパス文化を普及させるなどの戦略が議論された。