英国では、ほとんどの教会が毎週の対面礼拝を再開しているが、教会員すべてが会衆席に戻ってきたわけではない。戻ってきた場合も、多くの人が新型コロナウイルスのパンデミック以前ほど頻繁には礼拝に出席していないことが、英国福音同盟による最新の調査で明らかになった。
英国福音同盟が教会指導者552人と教会員1676人を対象に行った調査報告書「チェンジング・チャーチ(変化する教会)」(英語)によると、パンデミックが始まってから教会に通う人々の習慣が大きく変化していることが分かった。
英国では95%の教会が、毎週の対面礼拝を再開しており、61%の教会はオンライン礼拝も平行して提供し続けている。しかし調査では、毎週の対面礼拝の出席率が32%も低下していることが判明した。礼拝の平均出席者数が、パンデミック前は124人だったのが、2021年秋の時点で85人にまで減少しているのだ。
この傾向は、教会員の礼拝出席状況についての回答にも表れており、パンデミック前には92%が週単位で対面礼拝に出席していると答えたが、現在は68%にとどまっている。これに対して、2週間に1回、または1カ月に1回、対面礼拝に行くと答えた人は16%増加した。
オンライン礼拝の出席率は、頻度が週1回の場合はパンデミック前と大きく変わらなかったが(以前は24%、現在は23%)、頻度が月1回以上の場合は3%から24%と、19%も増加した。
パンデミックにより通う教会を変えた人も一定数いた。調査対象となった教会員のうち、9%は別の教会の対面礼拝に参加していると答え、2%は別の教会のオンライン礼拝に参加していると答えた。どの教会にもまったく通っていないと答えたのは3%だった。
報告書は、「これらのことから何が分かるでしょうか。教会の指導者たちが礼拝出席者数の減少を報告していることと、教会員が対面またはオンラインの礼拝に出席する頻度が減っていると回答していることから、教会員の大部分が礼拝の出席頻度を減らしていることが分かります」と述べている。
また、礼拝の出席パターンの変化が、寄付や奉仕活動、青少年活動に影響を与えていることも明らかになった。
教会指導者の60%が献金の減少を報告しており、増加したと答えたのはわずか15%で、変化なしと答えたのは19%だった。また、教会指導者の4分の3(74%)が、今後3カ月間に献金がさらに減少すると予想している。
この数字について、教会やキリスト教団体を財政的に支援している英慈善団体「スチュワードシップ」のスチュワート・マカロック最高責任者(CEO)は、次のように述べている。
「教会に定期的に献金している献身的な人たちは、パンデミックの間もほぼ献金を維持または増加させており、中には現金による献金への強いこだわりをオンラインに移行させた人もいます。しかし、現金による集金やイベントにおける募金は、(パンデミックにより)必然的に一時的に止まってしまうので、他の奉仕分野と同様に、再び(献金を)習慣化するためには積極的に活動を再開する必要があります。礼拝出席者の減少は、財政的な負担をもたらしますが、解決策は財政的なものではなく、伝道的なものであるはずです」
10人中6人の教会指導者が奉仕者の減少を実感しており、4分の1がその減少が「著しい」と答え、3分の1以上が教会の活動のために、より多くの奉仕者を必要としていると答えた。特に影響を受けているのは青少年活動で、パンデミック前に青少年向けの活動を行っていた教会の約4分の1(24%)は、現在何も行っていないと答えている。
報告書は、教会の使命は変わらないとし、結論として次のように述べている。
「教会は、変化する困難な状況に直面し続けます。しかしこれは熟考し、リセットする機会でもあり、戦略的な議論を求め、ロックダウンから教訓を学びながら建設的な議論を行う機会でもあります。私たちがこれらを行うとき、私たちの言葉と行動を通してイエスを知らせることに、私たち全員がコミットし続けることを祈りましょう」