英国家統計局の最新の統計により、イングランドとウェールズでキリスト教徒を自認する人の数が著しく減少していることが明らかになった。
このほど発表された2019年の数値では、イングランドとウェールズでキリスト教徒が人口に占める割合は51%だった。11年の国勢調査では59%だったことから、この8年間で8%減少したことになる。一方で無宗教者は、11年の32・3%から19年には38・4%にまで増加しており、4割に近づく勢いとなっている。
キリスト教離れが目立つのは若年層で、キリスト教徒が占める割合は、20歳から29歳までが35・2%、30歳から39歳までが39・8%と、いずれも30%台となっている。これに対し、60歳から69歳までは約3分の2、70歳から79歳までは4分の3弱(74・6%)、80歳以上では80%以上がキリスト教徒となっている。
無宗教者が多いのも若年層で、20歳から29歳までは半数以上(53・4%)、30歳から39歳までは46・3%が、「宗教を持たない」と回答している。
なお、イングランドとウェールズにおけるイスラム教徒の割合は、4・83%から5・67%とわずかに増加した。
英国の国勢調査は10年に1度の実施で、21年の国勢調査の結果は今年発表される予定だが、キリスト教徒の数はさらに減少することが予想される。
英国国教会が目指す「若者と多様性のあふれる教会」
新型コロナウイルス感染症対策のために実施されたロックダウンが一段落した20年10月、英国国教会の対面式礼拝の出席者は、コロナ前の水準より57%も減少した。20年全体で見ても、礼拝出席者は前年比7%の減少となった。英国国教会の広報担当者は、この数値について「予想通りであり、パンデミックの最初の年に教会が直面した課題の規模を如実に示している」と述べている。
一方、英国国教会は長年にわたり、着実に進む信徒数の減少に取り組んでおり、その対策の一環として、教会にいる子どもや若者の数を倍増させ、より多様な信徒を引きつけるためのビジョンと戦略を打ち出している。昨年12月には、若年層や多様なグループへの働き掛けを目的とした各教区のプロジェクト支援に約500万ポンド(約7億5千万円)を投資することを発表した。
英国国教会のビジョン戦略共同責任者であるデビー・クリントンさんは、「英国国教会の今後10年のビジョンと戦略の一環として、より若く多様性のある教会になることが明確な優先事項として打ち出されてきました」と述べている。