世界的伝道者の故ビリー・グラハム氏が妻の故ルースさんら家族と共に暮らしていた家が、難病を患う2人の孫娘の治療費を捻出するため売りに出されている。
売りに出されているのは、米ノースカロライナ州モントリートにある木造のコテージ(英語)。このコテージが売りに出されるのはこれが初めてで、価格は59万9千ドル(約6500万円)。グラハム氏が福音を伝えるため伝道者として各地を巡回していた際、妻や子どもたちと暮らしていた家で、現在はグラハム夫妻の娘であるルースさんの所有となっている。
プレスリリースは、「この魅力的なコテージには、あの伝道者(ビリー・グラハム氏)が有名になった時期、彼の家族が住んでいたという歴史があります」と伝えている。モントリートのミシシッピーロード198番地にあり、ベッドルーム4部屋、バスルーム2部屋を備えている。米競売大手サザビーズの系列不動産会社「プレミア・サザビーズ・インターナショナル・リアリティー」が独占的に販売しているという。
グラハム夫妻の娘のルースさんによると、両親は1940年代後半にこの家を購入した。「私の祖父母が住んでいた家の向かい側にあったので、この家が選ばれました」。ルースさんはクリスチャンポストに寄せた声明でそのように述べ、「私が生まれたのは、家族がこの家に住んでいた時期です。ロサンゼルス・クルセード(1948年開催の伝道集会)や英国遠征(54年)もその頃でした。ここはすべてが始まった場所なのです」と語った。
ルースさんが地元のアシュビル・シティズン・タイムズ紙(英語)に語ったところによると、グラハム夫妻は1957年にこの家から引っ越し、モントリートにあるより広い別の家に移り住んだ。その家は山中にあり、プライバシーを守るためでもあったという。
ルースさんは、この思い出が詰まった家を売りに出すことは「非常につらい」ことだったと言うが、リンパ脈管筋腫症を患う娘の医療費を捻出するため、苦渋の決断をしたという。この疾患は、肺や腎臓、リンパ系など、体のさまざまな部位に影響を及ぼす難病だ。
ルースさんは地元のテレビ局「WCNCシャーロット」(英語)に、「私の末娘は、出産年齢期の女性を襲う非常にまれな病気と診断され、将来的に多額の医療費がかかることが見込まれています」と語った。「自分の子どもに必要なことがあれば、天や地さえも動かそうとする母親のように、(娘に必要なものを)提供できることにとても感謝しています」
ルースさんは、5人の子どもがいたグラハム夫妻の3番目の子。自身の娘は3、4年前にリンパ脈管筋腫症と診断された。その際、余命6~8年と告げられており、ルースさんは「時間が近付いてきています」と言う。
ルースさんは初め、他のきょうだいたちに家を売却することを伝え、まずは彼らに購入の意思があるかどうかを尋ねたという。ビリー・グラハム伝道協会(BGEA)には予め相談はしなかったというが、同協会のスポークスマンは、ルースさんら5人のきょうだいたちは「お互いに深く愛し合い、支え合っています」と語った。
この家は、近年はバケーションレンタルとして利用されており、利用者は当時からある家具や書籍、写真、その他の思い出の品々を通して、グラハム一家がかつて過ごした生活を体験することができた。2階建てのこの家は、1900年に建築されたものだが、現在も非常にきれいに整備されており、周囲には絵画のように美しい散歩道や小川がある。すでに購入を希望する幾つかの申し出が入っているという。