教会の成長拡大に貢献する人財育成を目指すワーシップ!ジャパン宣教人財育成学院(佐藤祐明学長、以下「ワーシップ!ジャパン」)が主催する年に1度のカンファレンスが1日、オンラインで開催された。今年は「献身」をテーマに、大和カルバリーチャペルの坪井永城牧師やヒルソングチャーチ東京の江口涼牧師らをゲストに迎え、3部構成で座談会を実施。ゲストと神学生らが、献身にまつわる体験談や献身の本質を語り合った。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年は無観客で開催。今年は日本CGNTVの協力を得てオンラインでの開催となった。
第1部では、ワーシップ!ジャパンの神学生4人が献身という言葉の持つイメージや受け止め方について意見を出し合った。白石善彬(よしあき)さんは、「教会や教派によっても、かなり違ってくる。フルタイムで奉仕したりとか、すべての生活環境を変えないといけなかったりとか、あまり私たちに関係ないと思いがち」と話した。園原由希さんは、「ちゃんと神学校に入って、勉強して伝道師、牧師になる道を歩むことが献身だと思っていました。献身についてお祈りもしてみたのですが、神様から示されることもないし、自分にはハードルが高い、関係のないことだと思うようになりました」と語った。
一方で、「万人祭司」の教えを強調する教会に通う白石さんは、自身の教会にある7つの訓戒の1つに「信徒一人一人が神様から頂いた賜物を生かす教会」とあり、牧師が「奉仕している人は祭司であって一人一人が献身者」だと語っていたことを紹介。「(自分は)献身していると思います。私たちの教会一人一人もみんなのびのび奉仕しています」と語った。
園原さんは、ワーシップ!ジャパンに入学してから、高かった献身のハードルが下がったという。「授業で証しをしたり、賛美をリードしたりする課題が出されたとき、最初は不安で自信がありませんでした。でもそれだからこそ、神様に頼ること、聖霊様の助けを求めることをやってみて、しっかりと事前に準備して練習していくことを徹底的に教えていただきました。できないと決めつけていたことが自分にもできるのだと自信がつきました。それも、献身者の一つの姿なのではないかと思っています」と話した。
高橋昌平さんも「出家(しゅっけ)みたいに、すべて捨てて、重苦しい、自分には関係ないもの」と思っていた献身のイメージが、ワーシップ!ジャパンに入学して大きく変わったという。「今教会で賛美の奉仕をしていますが、まさか自分が教会で神に仕えるとは思ってもいませんでした。内容の濃い授業とさまざまな奉仕を通して、すごく礼拝が好きになりました。そして(共に学ぶ)みんなと出会えて、みんながイエス様に仕える姿を見て、クリスチャンって素晴らしいなと思えるようになってきて、僕もみんなみたいに神様に仕えたいと思えるようになりました」と語った。
土肥映里世(えりせ)さんは、自身が米国留学中に救われた体験を話しながら、献身に対する思いを語った。「神様の本当の愛に触れたときに、心の中に感じたことのない平安、喜びがやってくる。私はその時に、これを自分の大好きな家族や友達に教えてあげたいなって、すごく思いました。神様の愛に触れれば触れるほど、これを本当に伝えたい、伝えなきゃいけないと、心の中が変化していきました」
園原さんは、「自分の十字架を負い、そして私について来なさい」とイエスが語ったことに触れ、「自分の十字架を負うというのは、自分の弱さ、足りなさ、そういったものを抱えつつも、ありのまま主に従ってついていくこと」と言う。「自分にはできないのではないか、まだもうちょっと弱さを克服してからやろうかなと思うのではなくて、恐れずにまずはチャレンジしていく。そういう人たちが日本の教会にもっと与えられていくと、日本に献身者、働き人がどんどん起こされていくのでは」と語った。
最後に、白石さんは献身について「ありのままの自分をささげていく、というイメージを持った。聖書でも全焼のいけにえがあるように、自分の人生をありのまま、丸ごと神様にささげていく、その覚悟のようなものが献身なのでは」と語った。
「人と比べなくていい」「恐れなくていい」
第2部では、ヒルソングチャーチ東京の江口清香牧師とライブチャーチ寸座(静岡県浜松市)の榊山百合香牧師、ワーシップ!ジャパンの女子神学生3人が、献身の恵みについて女性の視点から語り合った。
オーストラリアのヒルソング教会で奉仕した清香牧師は、牧師でも平日はフルタイムで医師として働いたり、夫がサラリーマンとして働きながら、妻がフルタイムで牧会したりするなど、教会のリーダーシップにもさまざまな形があるのを見てきたと話した。
「自分らしい形で神様は導いてくれると思う。(献身は)その等身大の自分を神様にささげていくということ。日常の些細なことでも、自分の心が神様に向いているならば、神様への礼拝になる。神様のために子どもをしっかり育てていくことも献身に当たると思うし、もし小学校や中学校の先生として召しを与えられていて、フルタイムミニストリーではないからその人は献身していないのではないかというと、私はそうだとは思わない。その人が置かれた場所で、自分の賜物を使って神様のことを自分らしく伝えていくことによって、牧師にはできない伝道ができる。それぞれの形があるし、召しもそれぞれ違う。人と比べなくていい」
榊山牧師は、イエスの母であるマリアの召しについて語り、神の召しに応答することで与えられる祝福の素晴らしさを強調した。
「マリアは特別な人だったかというと、きっとそうじゃないと思う。神様はマリアを選ばれたように、私や皆さんを選んでおられて、マリアがその召しをアーメンと受け止めたときに想像もしなかった展開がなされたように、私たちが神様の召しをアーメンと受け取るときに、想像もしない展開を用意しておられる。『私が共にいるから恐れなくていい、私があなたを選んだ、それで十分だ』という御言葉の確信の中で、ぜひ応答していただきたい。皆さんがこの召しをアーメンと受け取るときに、皆さんの教会や日本、また世界が祝福される。あの弱かったマリアが選ばれて、アーメンと受け止めたその応答の故に人類が祝福されたように、素晴らしい祝福になる」
「神様はすでに使命を与えてくださっている」
第3部では、坪井牧師と江口涼牧師、ワーシップ!ジャパンのジョシュア佐佐木理事長と佐藤学長が、それぞれの体験談を交えながら献身の本質を語り合った。
涼牧師は、テモテへの手紙第二1章9節「神は私たちを救い、また、聖なる招きをもって召してくださいました」を引用。「誰でもクリスチャンであれば、救われたときに召し、使命がある」と言い、「神様は私たちを作品としてつくってくださって、すでによい行いを準備してくれている。日本にいるクリスチャンが、そのよい行いをすべてできたとしたら、すごいことが起こる。一人一人が自分に対する召しを見つけることが重要だと思う」と語った。
坪井牧師は、「どの時代も、神様が求めておられる献身者の姿は変わらない」と強調。「心を尽くし、思いを尽くし、精神を尽くし、力を尽くして主を愛すること、自分を愛するように隣人を愛すること、これが重要だとイエス様がおっしゃられたように、そこに立つこと。献身しても揺さぶられるところなので、すごく大事なところだと思う」と語った。
また、「自分一人で頑張って献身していくのではなくて、キリストの体としてお互いが必要で、共に生きていくことが大事」と指摘。たとえ小さな働きであっても、「大きな神様のビジョンを見つめる小さな一人一人の献身が、必ずイエス様がもう一度来られるその時までに、大宣教命令を達成させる」と話した。
さらに、出エジプト記3章12節で神がモーセに語った言葉「私は必ずあなたと共にいる」を引用し、「必ず共にいてくださるお方がご一緒ならば、神様は必ず用いてくださる。だから、献身のために一歩踏み出すことは決して間違っていないと思うので、ぜひ歩んでいただきたい」と視聴者を励ました。
涼牧師は、「私たちの教会は、少数の才能ある人たちによってできているのではなく、大勢の犠牲によって成り立っている」というヒルソング教会のブライアン・ヒューストン国際主任牧師の言葉を紹介し、「(神の働きには)大勢の人の力が必要」と話した。その上で、「ペテロが舟を降りて水の上を歩いたとき、嵐を見たのではなくて、イエス様だけを見て、イエス様に向かってまっすぐ歩いた。その時に、彼は水の上を歩くことができた。舟の中で見ているその他大勢にならずに、イエス様の奇跡を自分で体験したいならば、イエス様が導こうとしているところに自分が行きたいならば、舟を降りる経験は必ず必要。自分が今思っている献身の形をやってみて、もし違ったとしても、イエス様はそこにいてちゃんとつかんでくださる。安心して(舟を)降りたらいい」と続けた。
最後に佐佐木理事長は、「神様はもうすでに、われわれを呼び出してくださったときに使命を与えてくださっている。けれども、すでに与えられている使命に気付いていない人たちが多い」と指摘。「すでに与えられている使命にしっかりと気付いて、それを神様からのミッションとして握りしめ、その最高の道を歩む決断をしてほしい。一人でも多くの人がその最高の道を歩み、みんなで力を合わせて、全世界に出て行って、すべての造られた者に福音を宣(の)べ伝えていきたい」と話した。
「今、主は働き手を望んでおられる」
佐藤学長は座談会後のメッセージで、ワーシップ!ジャパンの神学生が超教派でクリスチャン105人を対象に行ったアンケート調査の結果を報告した。調査対象者のうち20代から40代が75・2パーセント、信徒が63・1パーセントを占める中で、52パーセントものクリスチャンが献身に対して意識を持っていることが分かったという。佐藤学長は、「この潜在的な献身者をもし生かすことができれば、どれほど多くの奉仕者が立ち上がり、育つことができるか。神様の素晴らしい可能性はここにあるのではないか」と語った。
その上で、マタイの福音書9章37、38節「収穫は多いが、働き手が少ない。だから、収穫の主に、収穫のために働き手を送ってくださるように祈りなさい」を引用し、「今、主は働き手を望んでおられる」と強調。「私たちクリスチャン一人一人が神様の前に決心して、その召しに応えていくならば、どれほどの素晴らしい神様の御業が現されるのでしょうか。今、わが人生を神様のために使いたい、主のお役に立ちたい、人々のお役に立ちたいと思う方がいるならば、決心の祈りをしようではありませんか」と呼び掛けた。