世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を構成する「黒島の集落」のシンボル的な存在である「黒島天主堂」(長崎県佐世保市黒島町)の2年に及んだ耐震対策・保存修理工事が終わり、24日から一般見学が再開した。
佐世保の名勝「九十九島」の一つに数えられる黒島は、江戸時代後期、平戸藩が入植を認めると、外海や生月(いきつき)島の潜伏キリシタンが多く移住。1865年の「信徒発見」後、当時約600人いた島内の信者全員がカトリックに復帰した。
78年には木造の教会が完成。97年にパリ外国宣教会のジョゼフ・マルマン神父が着任すると、神父自らが設計図を書き、信者らも献金や労働奉仕をし、1902年にれんが造りの現在の天主堂が完成した。島特産の「御影石」も多数使われており、祭壇の下には1800枚の有田焼磁器タイルが敷き詰められている。98年には国の重要文化財に指定された。
朝日新聞によると、23日には「感謝のミサ」と完工式が行われた。新型コロナウイルスの感染防止のため、ミサには信者代表ら5人のみが参加。カトリック長崎大司教区の髙見三明大司教が、「これを機にあらためて信者にふさわしい生活をし、島の共同体をつくっていきましょう」などと語った。共同通信によると、現在も島民の約8割がカトリック信者だという。
見学するには、関連遺産のインフォメーションセンターに事前連絡が必要。訪問2日前まではオンライン登録で、当日・前日は電話(095・823・7650)で受け付けている。
黒島天主堂では、月~土曜日は午前6~7時に、日曜日は午前7~8時(4月ごろ~10月ごろ)または午前8~9時(11月ごろ~3月ごろ)にミサが、木曜日午後3時半~4時半には教会学校が行われており、これらの教会行事の際は見学できない。詳しくは同センターのホームページを。