米宣教団体「ミッション・クライ」は、クリスマスまでに中国のクリスチャンに向け、輸送用コンテナ2つ分の聖書とキリスト教書を送る計画を立てている。
ミッション・クライは今年、すでに350万ドル(約3億6千万円)相当の聖書とキリスト教書計16万冊を無料で中国に送付している。中国のクリスチャンは迫害がひどくなっているため、これまで以上に聖書を必要としていると、ミッション・クライのジェイソン・ウールフォード会長は話す。
「今年1月、中国共産党はキリスト教に対する迫害を強化しました。それほど話題になっていませんが、中国が聖書を販売する店を閉鎖していることについて調べてみると、中国では現在、オンラインストアから聖書が引き抜かれています。彼らは宗教をコントロールしようとしています。ナチス・ドイツがそうであったように、国家公認の教会しかありません」
ウールフォード氏によると、中国政府は中国本土への聖書の出荷は禁止しているが、香港への出荷は許可しているという。中国の他の地域の人々が自由を享受しているという幻想を作り出すために、香港ではある程度の自由が維持されていると指摘する。
「香港は、中国が『ほら、私たちは普通ですよ』と言うための手段です。彼らにとっては展示品のようなものです。香港には聖書を送ることができます。われわれはそれを戦略的に利用しているのです」
香港は、中国の他の地域に聖書を届けるための入り口になっており、中国のパートナー団体が聖書を受け取り、最終的には中国本土に送られる。
元米海兵隊員のウールフォード氏は、クリスチャンが悪魔の攻撃を受けている国に聖書を送ることを働きの中心に据えており、自らの仕事を神のための戦いと呼んでいる。宣教団体の名称に「クライ(叫び声)」を入れたのも、神のための霊的な戦いの叫び声(ときの声)という意味からだ。
「海兵隊員として、私たちは戦いのある場所に行きます。フロリダに海兵隊員を派遣することはありません。今年は中国に追加のものを送ろうと思っています。私はいつも悪魔がどこに集中しているかを見ていますが、私たちは神の言葉をもってそこに集中しようとしています」
1956年から活動しているミッション・クライはこれまで、178カ国に3億9千万ドル(約405億円)相当の聖書とキリスト教書を届けてきた。
最近出荷した2千冊の聖書は、ミシガン州のマー聖書教会の支援による。送った「ミッション・クライ・バイブル」は、アメリカ標準訳聖書(ASV)に弟子育成プログラムが添付されている。
同教会のスタン・ゼルコウスキー主任牧師は動画(英語)で、「私たちは、ミッション・クライと協力できるこの機会をとてもうれしく思っています。毎年クリスマスの時期になると、私たちの教会は、何か地域の人々に影響を与え、私たちの生活に変化をもたらすためにできることをしています」と語った。
ミッション・クライが中国に送る聖書やキリスト教書は、中国語ではなく英語で書かれている。中国は教育システムの中で英語を教えており、中国人のうち約1千万人は英語ができ、総人口の約1パーセントを占める。ウールフォード氏によると、多くの国においてバイリンガルのクリスチャンは、母国語よりも英語で書かれた聖書を受け取ることを喜ぶという。
「バイリンガルの人がいるところではどこでも、ほとんどの場合、英語の聖書を持つことをより重要視しており、(母国語の聖書を持っていても)追加で英語の聖書を持とうとします。フィリピンやアフリカ、中国には英語が堪能な人がいて、彼らに(聖書を選択する機会を)与えた場合、彼らは英語の方を選ぶでしょう」
ウールフォード氏は、中国のクリスチャンが聖書を受け取って大きな喜びを感じていると話す。香港のあるキリスト教指導者は、ミッション・クライから聖書を受け取った時期に大手術を受けたが、退院時には、より多くの聖書を受け取った喜びから「イエスは私を愛している」と歌い始めたという。
「中国政府は神の言葉が文化革命をもたらすことを知っています。その革命は物理的、道徳的、経済的、霊的な変化をもたらすのです」