東京・新宿の大久保通り周辺にある7つの教会が協力する「新宿大久保通り教会防災ネットワーク」(略称:SOS防災ネット)が22日、大久保通りにあるウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会で防災啓発イベント「防災フェスタ2018」を開催した。地域住民ら約280人が来場し、地震の揺れを体験できる装置に乗ったり、AED(自動体外式除細動器)の使い方を学んだりした。
同ネットワークの菅野直基氏(新宿福興教会牧師)は開会のあいさつで「東京では、30年以内に70パーセントの確率で首都直下地震が起こるといわれている。今日の防災フェスタが、自然災害への備えのきっかけになれば」と話した。また、同ネットワークの略称「SOS防災ネット」は、緊急救助を求めるSOS信号の意味も兼ねていると述べ、「地域のSOSに応えられる働きをこれからも続けていきたい」と語った。
会場では、新宿消防署の職員による防災セミナーも開かれ、参加者は、家具の転倒防止や最低3日分の食料備蓄など、地震に備えるための具体的なアドバイスに耳を傾けていた。また、仙台で被災地支援者の心のケアを行う川ミニストリーのジョン・ヒューレット氏も講演し、心のケアのカギとなるストレスや時間の管理について、日頃からできる備えを紹介した。
通称「教会通り」といわれるほど、大久保通りの地域には多くの教会がある。しかし、地域の教会が集まったり、協力し合ったりする機会は、これまであまりなかったという。同ネットワーク結成のきっかけは2011年の東日本大震災。公認防災士の栗原一芳氏(クラッシュジャパン次期東京災害対策担当)の呼び掛けで14年から活動を始め、持ち回りで各教会に集まって情報を分かち合い、防災について学んできた。
「防災フェスタ」は2年前から開催しており、今回で3回目。協力する7教会の場所と防災対応を紹介したパンフレットを地域住民に配布しているほか、お茶を飲みながら防災に関する話を聞く「防災カフェ」も不定期で開いている。菅野氏は「震災などの有事の際に、各教会が助け合うだけではなく、地域の皆さんの『SOS』に適切に対応できる準備をしていきたい」と話す。