日本キリスト教会横浜海岸教会(横浜市中区)で24日、クリスマス賛美礼拝が行われた。同教会の信徒や初めての来場者を含む約200人が、140年以上にわたって信仰を守り続けてきた教会で、主イエス・キリストの降誕の恵みを分かち合った。
同教会は、1872年に米オランダ改革派教会の宣教師J・H・バラによって「日本基督公会」として設立された。現在の建物は、関東大震災後に再建されたものだが、戦前に建てられた会堂内部は、15世紀末ごろから17世紀初頭までの建築様式を持ち、扉のテューダーアーチ、縦長窓の三葉形アーチ、吹き抜け窓の反り曲線アーチ、ロビーステンドグラスの半円アーチなど、さまざまなアーチが組み合わされている。しかし、それ以外はほとんど装飾のないシンプルな空間を保っている。
そのような美しい礼拝堂に、1875年以来ずっと礼拝開始を告げ知らせているチャーチベルが鳴り響き、礼拝の時を知らせた。「神は、かつて預言者たちによって、多くのかたちで、また多くのしかたで先祖に語られたが、この終わりの時代には、御子によってわたしたちに語られました」(ヘブライ人への手紙1:1、2a)と招詞が読み上げられると、続いて賛美歌231が歌われ、司式者が開会の祈りをささげた。続いて同教会のクワイアが、『あがめます主を』を賛美し、中高生科による聖書朗読と賛美が交互に行われた。ルカによる福音書2章を中心に、同教会の上山修平牧師が「暗い夜に私たちの救い主は与えられた」と題してクリスマスメッセージを取り次いだ。
上山牧師は、先に読んだルカによる福音書2章1節から7節、8節から14節、15節から20節の三つの箇所から、その恵みの内容について語った。まず、イエスの誕生について語る1節から7節については、神が、どんな状況の中にあっても一人一人と共にいてくださるお方だと告げていると話した。
羊飼いと天使のことが記されている8節から14節については、初めてのクリスマスの夜、真っ暗な夜空を照らし出したその「光」は、人間が楽しむために作り出したイルミネーションのようなものではなく、神が照らし出した、救いをもたらす「外から来た光」だったと説いた。その上で、「罪のせいで暗い状態に私たちが覆われていても、神が外から光を照らす大きな恵みにより、進むべき道を示してくださる」と話した。
15節から20節については、羊飼いが見たことを話したときに、マリアが「これらの出来事をすべて心に納めて、思い巡らしていた」との箇所を強調した。「今ここでキリストの救いがどういうものか分からなくとも、イエス・キリストを追い続ける中でその恵みが分かってくる」と話し、そのために聖書が与えられていると説いた。
上山牧師は、クリスマスはイエス・キリストという希望が与えられた時であり、「神様は、私たちがどのようなときでも『あなたのそばにいる、だから私を見上げなさい、そうすれば道を照らすよ』と言ってくださる。自分が生きている世界の中で行き詰まり、もう駄目だと思う人がいるならば、そうではないということを知ってほしい」と強調した。「弱さについても卑下することなく、自分が弱いことは、新しい世界に立たせられる恵みの時だということを覚えて、それぞれの場所に帰って行ってほしい」と語った。
メッセージの後、クワイアが『喜びはむねに』を歌い、それに呼応するように会衆は、『もろびとこぞりて』や『きよしこの夜』などのクリスマス賛美をメドレーで歌った。最後は頌栄『グロリア、グロリア、グロリア』を会堂にいる全員で高らかに歌い上げ、賛美礼拝は終了した。クワイアが『さやかに星はきらめき』を静かに合唱しながら、礼拝堂を出る人たちを見送った。
クワイアのメンバーは約30人で、クリスマスやイースターなどの時には集中的に練習し、必ず賛美をささげている。クワイアの歴史も古く、メンバーの一人はもう60年以上歌い続けているという。伴奏はハモンドオルガンで演奏され、礼拝堂の屋根が高いため、音がとても響き、クワイアの歌声を一層引き立たせていた。
同教会堂は、1875年に建てられた最初の会堂が1923年の関東大震災により倒壊、焼失した後に再建され、80年以上そのまま使われ続けた。82年ぶりとなる改修工事は1年半以上にわたって行われ、昨年暮れに終了した。オリジナルの建物の良さをできるだけ残しつつ、バリアフリー化も実現させている。特に、外に付けられたエレベーターは、2階が礼拝堂なので、高齢者からも喜ばれている。改修中は、近隣にある横浜YMCAやミッションスクールの協力を得て礼拝を守ってきた。
賛美礼拝に参加した女性は、「昨年は改修工事のため、クリスマス礼拝しかこの礼拝堂でできなかったが、今年はアドベントの4回の礼拝をすべてこの礼拝堂で守ることができて本当にうれしかった」と、本来の礼拝堂でいつも通り礼拝がささげられた喜びを語った。