日本景教研究会(川口一彦代表)主催の「2015年日本景教セミナー」が9月21、22の両日、愛知県春日井市の同研究会本部で開催された。今回のテーマは、本部に大秦景教流行中国碑の模刻碑が建ったことから、碑について理解を深めることにあった。碑文の拓本採取体験も行われた。
講義では、紀元781年に西安の会堂に碑が建つに至った経緯や、850年代に大迫害から碑を守るため土中に隠し、1625年ごろ一農夫によって発見された碑が、盗難に遭うという事件(これはデンマーク人のホルムが碑をヨーロッパに移送しようとして発覚し、模刻碑を作ってローマに運び、現在はそれがバチカンに保管され、研究材料となった)などについて解説があり、参加者は熱心に耳を傾けていた。また、景教の漢文資料のうち、幾つかが日本に入った経緯についても解説があった。
使徒パウロは、アテネが偶像に満ちていたことから、それまでのアジアでの宣教とは違う宣教方法を考えた。この事実を取り上げながら、同じように景教徒たちが、宣教のために地域の宗教や文化に合わせて実施した取り組みについて解説する講義もあった。
最終日には、碑の文字を紙に写し取る拓本採取体験を行った。今まで体験したことのない珍しい拓本作業に、参加者からは驚きの声が上がっていた。その方法は、和紙を碑の文字にあて、上から霧吹きして紙を湿らし、紙の上に布を当てた刷毛で打ちたたきながら、彫られた文字に和紙を入れ込むもの。紙が乾燥したら、たんぽに薄く墨を付けて当てていくことにより、ボコに墨が付き、文字がくっきり浮かんでくる。この作業を丁寧にすることにより、綺麗な文字の拓本が完成していった。
今回は、碑下部のシリア語文で、景教徒が中国皇帝や民衆にイエスの教えを説教したとの内容が彫られた部分を採取した。
来年のセミナーは夏ごろ、関西での開催を予定している。今回の講義内容を一冊にまとめた講義集は、2千円で販売されている。問い合わせは、日本景教研究会本部(電話:0568・29・8539)。
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クリスチャントゥデイの読者限定で、今回セミナーで採取した部分の拓本を無料でプレゼントします。ご希望の方は、82円切手を貼り、お届け先の住所氏名を書いた返信用封筒を、日本景教研究会本部宛て(〒486‐0927愛知県春日井市柏井町7‐2‐6)にお送りください。1名様につき1部までとさせていただきます。また、碑文の拓本採取体験も随時無料で行っています。ご希望の方は日本景教研究会本部(電話:0568・29・8539)までお気軽にお申し込みください。