恵泉女学園大学(東京都多摩市)は9日、「安全保障関連法の廃止を求める声明」を、川島堅二学長と教職員一同の名により公式サイトで発表した。
同大学はこの声明で、衆参両院でこの法案が強行に採決されたとし、「この法案の成立によって、憲法九条はいよいよ形骸化され、アメリカの世界戦略に従い、武器の使用を前提として自衛隊が世界各地に派兵されることになるでしょう」と述べた上で、「わたしたちは、これまで経験したことのない強い憤りを感じています」としている。
また、安倍首相の「積極的平和主義」の具体化である安全保障関連法は、平和研究の第一人者ヨハン・ガルテゥング氏のいう「消極的平和」(紛争がない状態)をも「積極的」に壊すものであり、「これは、本学の教育理念とは反しており、この法によって国家が戦争へと向かうことを私たちは深刻に懸念しています」と述べている。
そして、「イエス、ノーをはっきり言える人間におなりなさい」という、同学園創立者・河井道の教えに従い、この間、学園に連なる多くの者たちが声を上げてきたと記し、「自分で考えて判断できる人間」を育成する教育や、平和をつくり出していくことを諦めないと強調。その上で、「わたしたちは衆参両院での強行採決につよく抗議し、安全保障関連法の廃止を求めます」と明記している。
安全保障関連法については、9月19日に日本キリスト者平和の会が「戦争法の強行採決抗議・実効阻止・廃止を求める声明」を、そして日本宗教者平和協議会が「『戦争法案』採決強行を断固糾弾する」という抗議声明をそれぞれ発表。24日には、「宗教者九条の和」が「安倍政権からいのちと憲法9条を守ろう!」と題する「緊急アピール」を発表した。
さらに28日には、カンバーランド長老キリスト教会日本中会神学・社会委員会が瀬底正博委員長の名で「安全保障関連法」の廃止を求める声明を安倍首相に提出。9月30日には、「特定秘密保護法に反対する牧師の会」が「安全保障関連法案の成立にあたって」と題する声明を発表している。
ただ、安全保障関連法については、参議院での採決の過程について、東京新聞が12日、「安保法『聴取不能』の議事録 与党判断で『可決』追記」という見出しの記事で報じており、その「可決」「成立」を疑問視する声も依然としてある。クリスチャンの憲法学者である宮本栄三氏は本紙に対し、その「採決」に対する強い批判の声を寄稿した。