550万人の米国人が、兵役のために負傷したり、健康状態が衰弱した愛する人の世話や介護に明け暮れている――ジョエル・オースティーン牧師は、傷痍(しょうい)軍人や退役軍人らを介護する人たちが信仰を建て上げていくために必要な、精神的・霊的な助言やサポートを得ることができるよう保証するのが、教会の役割であると語った。
エリザベス・ドール財団は、傷痍軍人や退役軍人の介護従事者たちが直面している困難・問題についての意識を高めるために、元米上院議員のエリザベス・ドール氏により設立された。同財団は、ランド研究所に依頼し2年間におよぶ調査を実施。調査の結果、傷痍軍人や退役軍人の介護をする家族や友人が、人生に対する希望を維持していく上で、精神的・霊的な助言やサポートを最も必要としていることが分かった。
ランド研究所がまとめた報告書「隠れたヒーローたち:米軍人介護者」の啓発朝食会が21日、ワシントンのラッセル上院ビルで行われ、米最大の教会であるレイクウッド教会(テキサス州ヒューストン)のオースティーン牧師らが出席した。オースティーン牧師は、朝食会前に取材に応じ、自分たちの人生を犠牲にし、兵役で傷ついた愛する人たちの世話や介護にいそしむ多くの配偶者たち、母親たち、父親たち、友人たちは、この多くの時間の取られる責任のためにほとんど休む暇がなく、教会に行ったり、牧師からの助言を求めたりすることもままならない状況であることを説明した。
退役軍人を支援することを目的としたさまざまなミニストリーや支援団体は多く存在するが、その介護従事者はしばしば見落とされている。彼らが家族や友人への介護に週に40時間以上費やし、問題や困難を抱え、うつに直面することもあるのにもかかわらず、だ。
「時に介護従事者は、愛する人の世話でくたくたになって、そこから解放されるということはとても難しいのです」とオースティーン牧師は言う。「ドール元上院議員から学んだことは、われわれはそのことを覚えておく必要があるということです。なぜなら、教会は退役軍人や負傷した人々をケアすることはよくやっていましたが、その人たちの介護に実際に携わっている人たちに関しては、見落としてきたからです」
ランド研究所の調査によると、介護従事者は宗教指導者からの助言を求める傾向にあるという。しかしながら、全米の多くの教会リーダーたちは、介護従事者たちが、自身の信仰に疑問を抱くこともある大変な状況に立たされていることに気付いていない。
「ランド研究所の調査結果がわれわれに示したことは、介護従事者が本当にイライラし、落ち込み、介護がとてもきつく、大きな負担になってきたとき、彼らはまず聖職者のところに行くということです」とエリザベス・ドール財団は述べている。「しかし、聖職者が常にこのような状況にある人たちについてよく知っているとは限りません。彼らが自分の愛する人をケアしていくのに必要なサポートをするため、彼らに声を掛け、抱きしめ、解決策を見つけていくことが重要です。それは短期的、長期的のどちらにもあてはまります」
21日の朝食会では、負傷した米陸軍軍曹のルイス・アルバラドさんの母親である、ソニア・アルバラド牧師が講演した。アルバラド牧師は夫と共に、2011年からアフガニスタンで負傷した息子の介護をしている。15年以上、牧師として福音を伝え、信仰から離れたことはかつて一度もなかったというが、介護をする過程で、自身の信仰に疑問を抱くようになったことがあったと明かした。
「私は神に対して怒っていました。どうしたらこんなことが起こり得るの? なぜ、私が何年も説教をしている神様が、このようなことが起こることを許されるの?」 アルバラド牧師は神に尋ねた。「困難な日々を経験していく中で月日がたち、私たちは自分たちの信仰に四苦八苦し、大きな恐れが私たちを支配しました。しかし、最終的には私たちはもっと良い方法があったことに気付いたのです」
「介護従事者にとって、信仰を持っていることは非常に重要です」とアルバラド牧師は続け、「選択肢の一つは恐怖ですが、恐怖は痛みだけをもたらします。一方、信仰は希望をもたらし、力を与え、神が私たちと共にいるという保証をもたらします。その保証は、私たちがこれからも前進し続けて行くことができるための力です」と語った。