世界遺産登録を目指す「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の構成資産の一つである大浦天主堂(長崎市)の拝観料が、7月1日から現在の大人300円から倍額の600円になるなど大幅に改定される。カトリック長崎大司教区の関係者でつくる国宝大浦天主堂保存委員会が、日本旅行業協会のサイトで発表した。
長崎新聞によれば、今回の拝観料の値上げは、教会群の維持保全のための修繕費の確保が主な理由だという。ユネスコに世界遺産登録を申請している教会群のほとんどが、築130年から150年の建造物であるため、維持のための修繕作業が欠かせない。国や県からの補助があるとはいえ、過疎化による信者の減少などで教会が膨大な修繕費を捻出するのは難しく、多くの観光客が訪れる人気スポットである大浦天主堂の拝観料引き上げを余儀なくされたという。
昨年、大浦天主堂には約60万人の観光客が訪れた。同天主堂の諸岡清美神父は、「世界遺産を見据えての便乗ではなく、教会全体を守るための苦しい決断」(同紙)と話している。佐世保市にある教会群の一つ、黒島天主堂も近く修繕が必要とされ、その費用のうち約1億円を管轄教区である長崎大司教区が負担しなければならないという。
改定後の拝観料は、大人が現在の300円から600円、中高生が250円から400円、小学生が200円から300円となる。また、団体割引については、30名以上の対象が20名以上に変更され、割引後の料金は、大人が250円から500円、中高生が200円から300円、小学生も150円から200円と引き上げられる。
大浦天主堂は、1865年に建立された日本に現存する最古のカトリックの教会堂。1953年には国宝にも指定されている。観光客の増加に伴い、75年にカトリック大浦教会が隣接地に建てられ、現在通常のミサは大浦教会で行われている。