関西学院の創立125周年を記念して、同大学図書館は特別展示会「印刷技術と聖書展」を、10月8日(水)~14日(火)の1週間にわたり、丸善丸ノ内本店ギャラリー(東京都千代田区)で開催している。
この展示会は、同大学の建学の理念であるキリスト教精神に基づく教育と研究のために蓄積してきた資料を、印刷機の発明と宗教改革にテーマを絞って公開したもの。2003年にも聖書を含む展示会を行ったが、今回はシンプルさにこだわり、聖書のみの展示となっている。
印刷機ができる前、書物は全て写本として作成されていた。そのため書物は非常に稀少で高価であり、一般人の手に届くことはほとんどなかった。しかし15世紀に、ヨハネス・グーテンベルクが活版印刷機を発明。この技術革新の結晶ともいえる印刷機により、最初に印刷され世に出されたのは、当時膨大な手間をかけて作られていた聖書だった。
活版印刷機による聖書の印刷は、印刷技術の実力を世の中に示すとともに、それまで特権階級のものであった聖書が大衆に広まり、技術だけではなく、信仰、文化、学問、思想などあらゆる分野に革命を起こした。
当時の様子は、ヴィクトル・ユゴーの小説『ノートルダム・ド・パリ』にも描かれており、司祭が印刷された聖書とノートルダム大聖堂を見て、「あぁ!これ(聖書)があれ(大聖堂)を滅ぼすだろう」とため息を吐くシーンもある。
今回の展示会について担当者は、「自分たちのお宝を『御開帳』というのではなく、聖書の持つ意味や、この書物が世界に及ぼした影響を一般の方に伝えたい」と話す。
「書物が及ぼしたムーブメントだけではなく、この宗教改革の立役者のルターらが様々な逆境の中でも発信し続けたメッセージや情熱を見ていただきたい。難しい観念や歴史ではなく、彼らが示した『やり続ける』ということの大切さを伝えたい」と語ってくれた。
展示スペースもシンプルだが、何よりも展示資料が伝える当時の人々の情熱や、その時のムーブメントを伝えたいという意気込みが伝わってくる。
展示に関する詳細・問い合わせは、同大学図書館運営課(電話:0798・54・6121、サイト)まで。