創立125周年を迎えた関西学院(兵庫県西宮市)は28日、前日竣工したばかりの中央講堂で記念式典を行ない、卒業生ら約750人が母校の節目を祝った。
式典は、学生のハンドベルクワイアによる「Come Thou Fount of Every Blessing」の演奏で始まり、関西学院中等部3年の田代絢春さんが詩篇23編を朗読。高等部2年の庄広樹さんが、「苦難の歴史もあったが、受け継がれてきた関西学院の伝統をこれからも守って生きたい」と祈りをささげた。
引き続き、関西学院大学の卒業生で女優の三倉茉奈さんと、アナウンサーの立田恭三さんによる司会のもと、大学の歴史を紹介する記念映像などが紹介された。
関西学院は、日本伝道をしていた米メソジスト監督教会の宣教師ウォルター・ラッセル・ランバスが、1889年に神戸郊外の原田の森(現在の王子動物公園周辺)に、神学部と普通学部の2つの学部からなる学校を創立したことに始まる。その後1929年に現在の西宮市上ヶ原に移転した。現在は、幼稚園、初等部、中等部、高等部、大学を展開する一貫教育を行っている。
宮原明理事長は、「宣教師たち計5人の教師と19人の生徒から始まった小さな学校が、125年を経てまさに、聖書のいう一粒の種が豊かに実を結んだように、現在約2万7千人の学生が学ぶ学院となった。キリスト教主義に基づいた学院のモットーである『Mastery for Service』(奉仕のための練達)の精神のもと、社会に貢献する人間を育てて生きたい」と挨拶した。
その後、日本でもっとも長い115年の歴史を持つグリークラブの合唱や、創立者のランバス宣教師をテーマにした能楽部による謡曲「ランバス 関西学院誕生」、日本テレビ系列の「NEWS ZERO」でメインキャスターを務める村尾信尚教授(経営戦略研究科)の司会による、初等部から大学までの学生と語り合うトークセッションも開催された。
同学院のシンボルで国の有形文化財にも登録されている時計台内には、大学記念博物館もオープンし、開校当時の建物や礼拝の様子の写真、学生のノートなど、創立当時の様子を偲ばせる品々、明治元年訳と呼ばれる当時の聖書や十字架などが展示された。12月からは「キリスト教と絵画」をテーマにした企画展などが開催される予定だという。
11月13日(木)には設立125周年記念礼拝が行なわれた後、政治学者で現在は聖学院大学学長の姜尚中氏による「日本におけるキリスト教」と題した記念講演が行なわれる。午後2時から。入場無料。
関西学院大学は1889年に設立された私立大学。西宮上ケ原キャンパス、三田キャンパスなど7つのキャンパスに、11の学部と14の大学院研究科があり、学生数は計2万7千人。上智大学、同志社大学などと共に、日本国内では数少ない神学部を設置しており、神学部では日本基督教団の牧師を養成する伝道者コースとキリスト教思想・文化コースを開講している。