北東アジア諸国で台頭する社会経済的・政治的・宗教的傾向について分かち合い、互いの理解と協力とともに共通の問題に取り組もうと、東京・西早稲田の日本キリスト教協議会(NCC)で10日、「北東アジアの平和と民衆の安全保障を促進する教会フォーラム(通称:NEフォーラム)」が開かれた。アジアキリスト教協議会(CCA)が公式英文ウェブニュースで伝えた。
このフォーラムで2014年から2015年までの議長に選出されたNCC総幹事の網中彰子(しょうこ)牧師は「NCC総幹事として昨年に続いて2回目の出席をしました。今回の議長は韓国、日本はホスト国としてささやかな準備をいたしました。今回は3月11日から開催される日本基督教団による震災国際会議(仙台)に合わせて日程を決めました。よって、原子力に関する課題についても各国と話し合いました」と述べた。
「会議が開催された3月11日の時点で日本国内の再稼働はありませんが原発の輸出は続いており、アジア、世界に対する日本のあり方が問われています。韓国と日本の間には政治的な課題も多くありますが、教会間にしかない深い信頼と交わりを継続することによって解決へと導かれると信じます。また、台湾・香港は中国との関係の中で緊張感や多様性があることも分かち合われました」と、網中総幹事は本紙へメールで答えた。
「いずこにも共通するのは『神の前における人のまことの自由』が守られることの大切さだと感じます」と網中総幹事。「また、どの国も、揺るがぬものへの信頼を求める人があり、それは私たちにとって主から与えられた信仰なので求める人々のために福音伝道をし続ける大切さもあらためて確認しました」と述べた。
「この会議は1日に凝縮されるため実務会の要素が強く、会議中に何か結論が出るものではありませんがこれからもよい連携を保ちつつ歩んでまいりたいと思います」と、網中総幹事は結んだ。
CCAによると、今回のフォーラムでは、平和と民衆の安全保障のために国際的なネットワークづくりをし、活動を共にすることの重要性を強調した。また、日本国憲法第9条や東日本大震災、そして「東山荘プロセス」30周年や朝鮮半島の再統一、原子力、「平和の学校」、平和のためのネットワーキングが詳細に議論された。
東山荘プロセスとは、1984年に静岡県御殿場市にある日本YMCAY国際青少年センター東山荘で、世界教会協議会(WCC)が北朝鮮と韓国のキリスト者を同じテーブルに集めて以来、朝鮮半島の再統一に向けた関係を築こうと行われてきた国際的なエキュメニカル運動の取り組みの過程を指す。2014年はその30周年にあたる。
このフォーラムでは、貧富の格差の拡大、選挙のような民主的過程に対する統制、教育や良い統治、言論の自由や選択の自由の悪化、軍事費、移住労働者、同性愛者や両性愛者・性同一性障がい者などの性的少数者と同性愛婚、そして家族という概念の定義と解釈などが、この地域における問題として分かち合われた。
また、平和の概念を子どもたちの幼少期に説明すべきだという観点から、より幼少な子どもたちのための「平和の学校」について計画した。それはまた北東アジアで正義と平和そしていのちを促進するためのエキュメニカルなフォーラムとしてともに集まるための方法や手段について考えた。
なお、このフォーラムには、2013年から2014年までの同フォーラム議長で韓国基督教会協議会(NCCK)総幹事の金榮周(キム・ヨンジュ)牧師、網中彰子牧師、香港基督教協進会総幹事の蒲錦昌(ポ・カムチョン)牧師、台湾基督長老教会(PCT)エキュメニカル関係担当の葉景安(イェ・チンアン)伝道師、PCT台湾シンクタンクのコンサルタントである賴怡忠(ライ・イチュン)博士、大韓イエス教長老会エキュメニカル関係及び計画担当の邊昌培(チャン・ペビュン)牧師、韓国メソジスト教会のキム・ジョング牧師、韓国長老教会副議長の金泳鎭(キム・ヨンジン)氏、CCAコミュニケーション・コンサルタントのスーザン・ジェイコブ氏、NCC広報担当の峯田敏幸氏が出席した。
また、このフォーラムでは、庭野平和財団の野口陽一専務と女性の家HELPディレクターの上田博子牧師(日本基督教団)が、憲法第9条に関する諸問題についての会合に参加した。この会合は日本のエキュメニカル運動の他の指導者たちとの晩餐をもって終了した。