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ルカの福音書身読の手引き

ルカの福音書身読の手引き(81) 宮村武夫牧師

2013年8月29日09時01分
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宮村武夫牧師+

わたしを覚えて
ルカの福音書22章14~23節

[1]序

今回の聖書箇所は、大きく三つの部分に分けることができます。

①過越の食事(14~18節)

②聖餐(式)の制定(19~20節)

③裏切りの予告

この中で、③については、次回以降24節以下を味わう際に注意を払うことにして、今回は①と②の箇所を中心に見て行きます。

[2]「この過越の食事をすることをどんなに望んでいたことか」(14~16節)

(1)「さて時間になって」(14節)

ふさわしい時に「過越の食事」のテーブルに着く、主イエスと弟子の姿をルカは描いています。さらに、「苦しみを受ける前に」(15節)、「過越が神の国において成就するまでは」(16節)と時、時間の感覚・センスを発揮しながら描写。この時・時間を意識し大切にする事実は、年を重ねる恵みの自覚や喜びと堅く結びつきます。時・時間・歴史を重んずるセンスを養うためには、食卓につく時間をどのように意識するかなど日常生活における姿勢が鍵です。

(2)過越の食事

①過越の食事の起源(出エジプト記20章2節)

②過越の食事の内容

③主イエスが弟子たちと過越の食事をなさることを熱望する理由

[3]「わたしを覚えて」(17~23節)

(1)「これは、あなたがたのために与える、わたしのからだです」(19節)。

①主イエスご自身とパンとの結びつきを通し、主イエスの十字架の意味を明示。

②「あなたがたのために」、いつも聖餐式で賛美する聖歌206番参照。

2節 こはわがため 十字のうえに
くぎもてさかれし みからだなり
3節 こはわがため のろいうけて
ながさせたまいし きみが血なり
4節 こはわがため あたえたもう
いのちのかてなり のみものなり

(2)「わたしを覚えてこれを行ないなさい」(19節)

①「わたし」、「信仰の創始者であり、完成者であるイエスから目を離さないでいなさい」(ヘブル12章2節)。

②「覚えて」、Ⅰコリント11章24、25節、ヘブル10章3節参照。

(3)「この杯は、あなたがたのために流されるわたしの血による新しい契約です」(20節)。「新しい契約」、エレミヤ31章31~34節参照。新しい契約の中に生かされている者の喜び、特権と責任の大切な一つは、エレミヤ15章16節に見る、主の名をつけられ主なる神の者とされている恵みの立場。名を重んじる精神、しかし家名だけではなく、主の名を。

[4]結び

(1)年を重ねる恵みの一つは、90年を昨日のように。そして主イエスを覚え記憶する教会は、2000年前の主イエスにあるできごとを、今、ここでの恵みの事実として。

(2)出エジプト記20章2節とモーセの十戒の堅い結びつき。その中で、12節、「あなたの父と母を敬え」の位置。父母を敬い過去との結びつきを持つことと神の救いのできごとを、今、ここで「わがため」と受け止めることは深い関係があります。

(3)聖霊ご自身の助けにより(ヨハネ14章26節参照)、記憶する教会としての歩みは可能です。記憶する教会は記録する教会であり、テープや文書を通し、未来・将来に向け開かれている群れであるべきです。主イエスを覚える一人一人としての前進は、聖霊ご自身の恵みの御業に頼りつつの道です。過去を大切にする時、未来に開かれ、今、ここで忠実に主イエスご自身に従う道を日々進みましょう。

◇


宮村武夫(みやむら・たけお)

1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。

主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。




※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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