キリストの十字架とは何なのかを考えて行きたいと思います。
自分の十字架を負って私についていかないものは、わたしにふさわしいものではありません(マタイ10・38)。
クリスチャン生活を送る中で、何を負っているのかを知るために、まず十字架とは何かを知らなければなりません。
パウロはⅠコリント1章23節で「十字架につけられたキリストを宣べ伝える」と言っています。
「この知恵を、この世の支配者たちは、だれひとりとして悟りませんでした。もし悟っていたら、栄光の主を十字架につけはしなかったでしょう(Ⅰコリント2・8)。」
イエス様が十字架につかれるとき、この世の支配者、サタンは「キリストが十字架につくということがいったいどういうことなのか」わかっていませんでした。
栄光の主イエス様が十字架につくということは、いったいどういうことなのかということをまず知る必要があるのではないでしょうか。
「というのは、私はしばしばあなたがたに言って来たし、今も涙をもって言うのですが、多くの人々がキリストの十字架の敵として歩んでいるからです(ピリピ3・18)。」
十字架の敵として歩んでいるクリスチャンがいると書かれていますが、まずは十字架がわからなければ、「自分が十字架の敵なのか、十字架を背負っているのか」どちらなのかさえもわかりません。
旧約聖書と新約聖書を対比するときに、旧約で預言された出来事が新約で起こっていくのがわかります。新約で実現される「恵みと祝福」を示すために、旧約では「アブラハムの祝福」がありました。それはユダヤ人に対しての祝福の約束でしたが、新約ではそれが全世界の人々に広まるようになりました。旧約のノアの洪水も同じで、新約では全人類の終末が来ることが預言されています。
それでは、新約でなされたイエス様の十字架刑の旧約のモデルは何だったのでしょうか。
イエス様に対して洗礼者ヨハネは「見よ、世の罪を取り除く神の小羊(ヨハネ1:29)」と言っています。神様を子羊とたとえています。この意味はどこにあるのでしょうか。旧約聖書の時代に子羊は罪の生けにえとして捧げられるものでした。
イエス様が十字架に架かられたとき、旧約のある祭りと重なっていました。
「あなたがたの知っているとおり、二日たつと過越の祭りになります。人の子は十字架につけられるために引き渡されます(マタイ26・2)。」
イエス様は過ぎ越しの祭りで十字架に架かられました。このことによって、旧約のある出来事が完全に成就されたのです。つまり新約で生じたイエス様の十字架の意味がわかるように、旧約で過ぎ越しの祭りがあったのです。
「主は、エジプトの国でモーセとアロンに仰せられた。「この月をあなたがたの月の始まりとし、これをあなたがたの年の最初の月とせよ。イスラエルの全会衆に告げて言え。この月の十日に、おのおのその父祖の家ごとに、羊一頭を、すなわち、家族ごとに羊一頭を用意しなさい。もし家族が羊一頭の分より少ないなら、その人はその家のすぐ隣の人と、人数に応じて一頭を取り、めいめいが食べる分量に応じて、その羊を分けなければならない。あなたがたの羊は傷のない一歳の雄でなければならない。それを子羊かやぎのうちから取らなければならない(出エジプト12・1~5)。」
一歳の傷のない雄の子羊をほふると書かれています。この子羊の血は何をもたらしたのでしょうか?
「あなたがたはこの月の十四日までそれをよく見守る。そしてイスラエルの民の全集会は集まって、夕暮れにそれをほふり、その血を取り、羊を食べる家々の二本の門柱と、かもいに、それをつける(出エジプト12・6~7)。」
この血をつける行為は一体何をもたらすのでしょうか?
「その夜、その肉を食べる。すなわち、それを火に焼いて、種を入れないパンと苦菜を添えて食べなければならない。それを、生のままで、または、水で煮て食べてはならない。その頭も足も内臓も火で焼かなければならない。それを朝まで残してはならない。朝まで残ったものは、火で焼かなければならない。あなたがたは、このようにしてそれを食べなければならない。腰の帯を引き締め、足に、くつをはき、手に杖を持ち、急いで食べなさい。これは主への過越の生けにえである(出エジプト12・8~11)。」
イスラエルの民がエジプトで奴隷として働かされていた時に、「血を門柱につける」という出来事が起こりました。その時神の裁きがエジプトの中に起こりました。
「その夜、わたしはエジプトの地を巡り、人をはじめ、家畜に至るまで、エジプトの地のすべての初子を打ち、また、エジプトのすべての神々にさばきを下そう。わたしは主である。あなたがたのいる家々の血は、あなたがたのためにしるしとなる。わたしはその血を見て、あなたがたの所を通り越そう。わたしがエジプトの地を打つとき、あなたがたには滅びのわざわいは起こらない。この日は、あなたがたにとって記念すべき日となる。あなたがたはこれを主への祭りとして祝い、代々守るべき永遠のおきてとしてこれを祝わなければならない(出エジプト12・12~14)。」
罪がなく汚れのない生けにえの子羊の血が門柱に塗られていました。それを塗らないと、「初子が全部打たれる」ということが起こってしまいます。しかし子羊の血を塗った家は、その災いが通り過ぎていきます。だから「過ぎ越し」の祭りなのです。災いが通りすぎていくかいかないかの違いは、それぞれの家の門柱に「血が塗られているか塗られていないか」というだけのことです。過ぎ越しの祭りのための生けにえの血が「門とかもい」に塗ってあるならば、災いは通り過ぎていくのです。
これはイエス様の本当の十字架を前もって旧約で示しているといえます。
「そこで、モーセはイスラエルの長老たちをみな呼び寄せて言った。「あなたがたの家族のために羊を、ためらうことなく、取り、過越の生けにえとしてほふりなさい。ヒソプの一束を取って、鉢の中の血に浸し、その鉢の中の血をかもいと二本の門柱につけなさい。朝まで、だれも家の戸口から外に出てはならない。 主がエジプトを打つために行き巡られ、かもいと二本の門柱にある血をご覧になれば、主はその戸口を過ぎ越され、滅ぼす者があなたがたの家にはいって、打つことがないようにされる(出エジプト12・21~23)。」
「あなたがたの子どもたちが『この儀式はどういう意味ですか。』と言ったとき、 あなたがたはこう答えなさい。『それは主への過越の生けにえだ。主がエジプトを打ったとき、主はエジプトにいたイスラエル人の家を過ぎ越され、私たちの家々を救ってくださったのだ。』」すると民はひざまずいて、礼拝した(出エジプト12・26~27)。」
ユダヤ人はこの祭りを毎年行っていくわけです。「過ぎ越しの祭り」があってユダヤ人が守られたということです。またエジプト人でも「かもい」の中に入るなら、その「血」があるから助かることができます。しかしエジプト人はこれを信じません。しかし実際にどんどんそのようなことが起こっていくようになりました。この「血」があるからこそ、災いが通り過ぎていくのです。ユダヤ人だからではなく、その「血」が塗られているから過ぎ越していくわけです。
※続きはこちら「旧約の預言が成就したイエスの十字架」
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徐起源(そう・きうぉん):
恵那レーマミニストリーの代表、ERM聖書学校学長、愛知県一宮市の超教派聖会「ワールド・リバイバル・カンファレンス」の理事・講師を務めるなど、その活動は多岐にわたる。同校本部の岐阜県恵那市に加え、京都、岡崎(愛知)、沖縄、立川(東京)など全国数カ所で聖書学校、聖会をおよそ月1回のペースで行っている。
インターネット聖書学校、通信聖書学校等も現在開講中。恵那クリスチャンセンター(岐阜県恵那市)牧師。恵那レーマミニストリー公式サイト。無牧の人の為に日曜日10:30から礼拝発信 ,著書「信仰の使い方をご存知ですか?(上)(下)」「あなたは神の義をいただいていることをご存知ですか?」
※画像は恵那レーマミニストリーのロゴ。
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