イラン当局は先週、首都テヘランにあるキリスト教会の閉鎖を命じた。10日米クリスチャンポスト(CP)が報じた。イランのクリスチャンで、世界人権宣言第18条のアドボカシー担当者であるモンスール・ボルジ氏は「残念ながら、イラン当局はテヘランジャナト・アバド地域で教会の閉鎖を命じました」と伝えた。
英ロンドンを拠点とするイラン緒教会一致協議会(UCIC)のイニシアチブである「第18条」では、世界人権宣言第18条に書かれてある内容に基づき、イラン国内の宗教活動の自由を促進し、保護する活動を模索しており、欧州のイランキリスト教諸教会によって活動が支えられている。
首都テヘラン北西部ジャナト・アバド地区にあるアッセンブリーズ・オブ・ゴッド(AOG)教会は、元々テヘランから20キロメートル西側に位置するカラチに存在していた。教会指導者らがイラン当局と交渉し、テヘラン西部に住むアッシリア系のキリスト教徒に仕えるためにジャナト・アバド地区へ移転するに至った。しかし時が経過するにつれて、同地区のイスラム教徒の家族の中からAOG教会に出席する出席者数が増加したため、イラン当局の注目を集めるに至っていた。
ジャナト・アバド地区の教会では70人以上のキリスト教徒が主日礼拝に参加している。ボルジ氏は「イスラム教徒の家族の中からキリスト教会の礼拝に出席する人々が増えるにつれ、イラン当局にとって同教会は懸念の的となるようになりました。そしてついに教会の閉鎖を命じるに至りました」と述べた。
先月テヘランAOG中央教会の指導陣らは、20年間のイラン当局による教会員のリストを提供するようにという抑圧を経て、教会員らに国民番号と名前を自発的に名乗り出てもらうように要請するに至った。イラン政府の教会員リスト提示を求める動機は、イスラム教徒からキリスト教徒に改宗する人数を最小限にとどめ、キリスト教会教会員の動きを監視することにあるという。
同教会では主日に二度の礼拝を行っており、イスラム教の家族の中から多くの人々が礼拝に出席している。ボルジ氏は、既に教会員の一部は先月政府に教会に所属している情報を提示したと伝えており、「一部の教会員は提示しましたが、全員ではありません。一部の教会員は教会に所属している情報を政府に提示した後、所属している大学や職場での問題を抱えるようになってしまいました」と述べている。
教会に所属していることが明らかになるとともに、所属している大学の定期試験受験を禁止されるクリスチャンの学生が生じたり、また教会に所属していることを理由に職場から突然解雇命令を出されるクリスチャンの会社員も生じているという。
ボルジ氏は「このような攻撃的な福音主義キリスト教徒を抹消しようとする政府の活動が停止されなければ、時間の問題ですべてのアッシリア系キリスト教徒向けの教会が閉鎖せざるを得なくなるでしょう」と懸念を露わにしている。
ジャナト・アバド地区の教会が閉鎖されるに伴い、テヘランではAOG中央教会、エマニュエルプロテスタント教会および聖ペテロ福音教会の3教会のみがアッシリア系キリスト教徒向けの教会として残されることになる。
先月イラン当局はテヘランイマニュエル教会の教会員の夫婦を逮捕したことがテヘラン地方紙で報じられた。テヘラン地方紙によると、ここ数カ月テヘランでのイラン当局によるキリスト教徒への迫害が強まってきているという。
イスラム教国であるイランでは、キリスト教徒、特にイスラム教からキリスト教に改宗した人々を国家の敵の様に見なしているという。イスラム教からキリスト教へ改宗した人々はそれぞれの自宅などで集会を開き、地下教会を形成している場合も多いという。イスラム教からキリスト教へ改宗した人々の割合に関する正確なデータは得られていない。
UCICを代表して、ボルジ氏は国際共同体に対し、イランにおけるキリスト教への国家的迫害行為に声を上げるように呼びかけており、「私たちはすべてのイラン人および国際共同体に対し、イラン国内の諸教会に対する政府の抑圧が終焉するために一致した支援をしてくださるよう求めています」と述べている。
2009年10月以来刑務所に拘束され死刑を待たされている福音主義牧師のユセフ・ナダルカニ氏の他20人以上のキリスト教徒が信仰を理由にイランの刑務所に拘束されたままになっており、刑務所に拘束されているキリスト教徒らの健康状態も懸念されている。
クリスチャントゥデイからのお願い
皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。
人気記事ランキング
-
次期ローマ教皇の有力候補4人
-
京都ノートルダム女子大学、2026年度以降の学生募集を停止
-
2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」
-
ローマ教皇フランシスコの死に相次いで哀悼のコメント キリスト教指導者7人の反応
-
「苦しみ」と「苦しみ」の解決(4)神が人を引き寄せてくださる(前半) 三谷和司
-
「苦しみ」と「苦しみ」の解決(4)神が人を引き寄せてくださる(後半) 三谷和司
-
教皇フランシスコの献花台や記帳所、東京カテドラル聖マリア大聖堂などに設置
-
人生をまるまる楽しもう! 菅野直基
-
ローマ教皇フランシスコ死去、88歳
-
シリア語の世界(22)辞書2・ヨハネ黙示録の賛美歌5―11章15節― 川口一彦
-
2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」
-
教皇フランシスコの献花台や記帳所、東京カテドラル聖マリア大聖堂などに設置
-
ローマ教皇フランシスコ死去、88歳
-
【イースターメッセージ】陰府(よみ)帰りの福音 金井望
-
次期ローマ教皇の有力候補4人
-
ローマ教皇フランシスコの死に相次いで哀悼のコメント キリスト教指導者7人の反応
-
聖職者への唾吐き、教会施設への攻撃など イスラエルで反キリスト教事件が増加
-
映画「パッション」続編、今年8月にもイタリアで撮影開始へ
-
「苦しみ」と「苦しみ」の解決(4)神が人を引き寄せてくださる(後半) 三谷和司
-
英国で「静かなリバイバル」 教会の礼拝出席率が増加、Z世代の男性で顕著
-
2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」
-
映画「パッション」続編、今年8月にもイタリアで撮影開始へ
-
救世軍、ブース記念病院を事業譲渡 7月から「タムス杉並病院」に
-
教皇フランシスコの献花台や記帳所、東京カテドラル聖マリア大聖堂などに設置
-
ローマ教皇フランシスコ死去、88歳
-
「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る
-
英国で「静かなリバイバル」 教会の礼拝出席率が増加、Z世代の男性で顕著
-
次期ローマ教皇の有力候補4人
-
【イースターメッセージ】陰府(よみ)帰りの福音 金井望
-
「カトリックジャパンニュース」がスタート カトリック新聞は休刊