英ロンドンを拠点とするイラン緒教会一致協議会(UCIC)のイニシアチブである「第18条」では、世界人権宣言第18条に書かれてある内容に基づき、イラン国内の宗教活動の自由を促進し、保護する活動を模索しており、欧州のイランキリスト教諸教会によって活動が支えられている。
首都テヘラン北西部ジャナト・アバド地区にあるアッセンブリーズ・オブ・ゴッド(AOG)教会は、元々テヘランから20キロメートル西側に位置するカラチに存在していた。教会指導者らがイラン当局と交渉し、テヘラン西部に住むアッシリア系のキリスト教徒に仕えるためにジャナト・アバド地区へ移転するに至った。しかし時が経過するにつれて、同地区のイスラム教徒の家族の中からAOG教会に出席する出席者数が増加したため、イラン当局の注目を集めるに至っていた。
ジャナト・アバド地区の教会では70人以上のキリスト教徒が主日礼拝に参加している。ボルジ氏は「イスラム教徒の家族の中からキリスト教会の礼拝に出席する人々が増えるにつれ、イラン当局にとって同教会は懸念の的となるようになりました。そしてついに教会の閉鎖を命じるに至りました」と述べた。
先月テヘランAOG中央教会の指導陣らは、20年間のイラン当局による教会員のリストを提供するようにという抑圧を経て、教会員らに国民番号と名前を自発的に名乗り出てもらうように要請するに至った。イラン政府の教会員リスト提示を求める動機は、イスラム教徒からキリスト教徒に改宗する人数を最小限にとどめ、キリスト教会教会員の動きを監視することにあるという。
同教会では主日に二度の礼拝を行っており、イスラム教の家族の中から多くの人々が礼拝に出席している。ボルジ氏は、既に教会員の一部は先月政府に教会に所属している情報を提示したと伝えており、「一部の教会員は提示しましたが、全員ではありません。一部の教会員は教会に所属している情報を政府に提示した後、所属している大学や職場での問題を抱えるようになってしまいました」と述べている。
教会に所属していることが明らかになるとともに、所属している大学の定期試験受験を禁止されるクリスチャンの学生が生じたり、また教会に所属していることを理由に職場から突然解雇命令を出されるクリスチャンの会社員も生じているという。
ボルジ氏は「このような攻撃的な福音主義キリスト教徒を抹消しようとする政府の活動が停止されなければ、時間の問題ですべてのアッシリア系キリスト教徒向けの教会が閉鎖せざるを得なくなるでしょう」と懸念を露わにしている。
ジャナト・アバド地区の教会が閉鎖されるに伴い、テヘランではAOG中央教会、エマニュエルプロテスタント教会および聖ペテロ福音教会の3教会のみがアッシリア系キリスト教徒向けの教会として残されることになる。
先月イラン当局はテヘランイマニュエル教会の教会員の夫婦を逮捕したことがテヘラン地方紙で報じられた。テヘラン地方紙によると、ここ数カ月テヘランでのイラン当局によるキリスト教徒への迫害が強まってきているという。
イスラム教国であるイランでは、キリスト教徒、特にイスラム教からキリスト教に改宗した人々を国家の敵の様に見なしているという。イスラム教からキリスト教へ改宗した人々はそれぞれの自宅などで集会を開き、地下教会を形成している場合も多いという。イスラム教からキリスト教へ改宗した人々の割合に関する正確なデータは得られていない。
UCICを代表して、ボルジ氏は国際共同体に対し、イランにおけるキリスト教への国家的迫害行為に声を上げるように呼びかけており、「私たちはすべてのイラン人および国際共同体に対し、イラン国内の諸教会に対する政府の抑圧が終焉するために一致した支援をしてくださるよう求めています」と述べている。
2009年10月以来刑務所に拘束され死刑を待たされている福音主義牧師のユセフ・ナダルカニ氏の他20人以上のキリスト教徒が信仰を理由にイランの刑務所に拘束されたままになっており、刑務所に拘束されているキリスト教徒らの健康状態も懸念されている。