【CJC=東京】新型インフルエンザの感染が世界各国に拡大する中で、多くの人が集まるキリスト教会も対応に苦慮している。感染者が地域で出ている場合、教会に行くことを制限すべき、との声もある一方で、力の源になるから行った方が良い、ただ感染したら家に止まれという動きもある。
メキシコでは公的施設の閉鎖命令が出され、カトリック教会もミサを中止している。グアダラハラのフアン・サンドヴァル・イニグエズ枢機卿は、健康に不安があるなら日曜のミサへの出席は義務とはならない、と信徒に語っている。
カトリック救援団体『カリタス・メキシコ』は、予防法と共に敬愛されているグアダルーペの聖母への祈りも盛り込んだパンフレットを作成した。マスクや消毒薬も配布したいが品不足に頭を痛めている。「とにかく絶対数が足りない」と救援担当のエンリケ・マルドナド・ガルシア神父。
救援団体『ワールド・ビジョン』はメキシコ市事務所を一時閉鎖、スタッフ全員にマスクを配布した。『ワールド・リリーフ』は航空機を利用するスタッフに、咳をする時には口を覆うとか、常に手を洗うとか、改めて警告を出している。
メキシコに隣接する米テキサス州内の聖公会教区では、全信徒にインフルエンザに注意するよう具体的な情報を提供している。
米合同メソジスト教会でも、テキサス州サンアントニオ近郊の教会で5月3日の礼拝で歓迎の挨拶、握手と抱擁を止めたり、聖餐式のパンも1人ずつにしたりぶどう酒も使い捨てのグラスで配るなどの措置を取った。サンアントニオのユニバーシティ合同メソジスト教会では、聖餐式で個別包装したパンとパック入りぶどう酒を使うことにした。同派救援委員会は、メキシコの会員5万人を対象に、マスク供与を検討している。
米福音ルーテル教会(ELCA)は「公衆衛生に関心を示すべき時の礼拝」指針を出し、個人、家族のインフルエンザ対策を示した。それによると、礼拝を止める必要はないが、牧師は地域の事情をよく調べて、会衆に不安を与えないように、と指示している。
米カトリック教会ではバルチモア、カリフォルニア州フレスノ、メーン州ポートランドなどの教区で、入り口にあった聖水が取り除かれ、ホスチア(聖別された無発酵パン)を口に与えたのを手に渡すだけにしたり、聖杯からぶどう酒を飲むことを止めた。取り成しの徴として信徒と握手することを控える例も出ている。
英ランカスター教区では、司祭が家庭訪問する際には、マスクや手袋を着用、1軒ごとに手を洗うこと、終油の秘跡を授けたり、病者に手を置く時にもマスクや手袋の着用を指示している。人々を励ますことと病気を広めることの双方への配慮が必要だ、という。
ニュージーランドのカトリック教会も、ミサのホスチアを受け手の舌に載せないよう、また同じ聖杯からぶどう酒を飲まないように、司祭に指示している。