今日の社会が抱える児童に関する諸課題、子どもの権利について、諸教会の一致した力強い声明が必要とされている。WCCエキュメニカル神学教育プログラムでは、児童教育および霊的成長に欠かせない児童神学の発展の必要性が強調された。
同プログラムは諸教会や神学組織が共にキリスト教宣教において子どもたちがはかり知れないポテンシャルをもっていることを認識したことから始まった。マルコの福音書9章36節、37節では「イエスは、ひとりの子どもを連れて来て、彼らの真ん中に立たせ、腕に抱き寄せて、彼らに言われた。『だれでも、このような幼子たちのひとりを、わたしのなのゆえに受け入れるならば、わたしを受け入れるのです。また、だれでも、わたしを受け入れるならば、わたしを受け入れるのではなく、わたしを遣わされた方を受け入れるのです』」と書かれてある。
WCCは、世界中の各キリスト教ミニストリーと共に、今年3月にケニア首都ナイロビにあるデイスター大学およびコンパッション・インターナショナルによって主催された「子どものための神学会議-現在とこれから」に参加した。会議では世界福音同盟(WEA)、ローザンヌ運動、4/14ウインドウグローバル・ムーブメント、子ども神学ムーブメント、ホリスティック・児童開発グローバル同盟など世界キリスト教諸団体指導者らとともに、子どもを対象にした神学教育について活発な意見交換がなされた。
会議では教会の使命の中における児童神学の意味合いや、子どもの全体的な人格の発展という視点からとらえた神学教育カリキュラムの拡張方法などについて議論された。
会議の内容は今年度末にもコンパッション・インターナショナルから「ナウ・アンド・ネクスト(Now&Next)」というタイトルでオンライン書籍として入手可能になる予定であるという。
会議では、エキュメニカル運動初期に日曜学校教育の活性化が行われたことが、エキュメニカル神学教育プログラムエグゼクティブのディエトリッチ・ワーナー博士から指摘された。
同氏は、福音主義者とエキュメニカル運動に関わるキリスト教指導者らの間での現場における共同作業が、子ども神学の実際的な発展に重要な役割を果たすとし、「子どものためのミニストリーや日曜学校教育に教会が十分にコミットすることが必要です。天の御国の象徴である教会において、これらは決して切り離すことのできないものです」と述べた。WCCは2013年に韓国釜山で第10回世界総会を開催する。ワーナー博士はそれまでに児童神学の発展を促していくことができることを期待している。
ワーナー博士は児童神学の重要性について「子どもたちにも神様のことについて学ぶ権利があります。彼らはキリストを知る権利があります。子どもたちにとって霊的成長の糧となる教育資源が必要とされており、このような子どもたちの内的な霊的成長が、希望や愛、信頼を表現する根本的に重要なものとなり、子どもの人格形成に必要不可欠なものとなるといえるでしょう」と述べている。