韓国・ソウル市内の主要教会信徒の約7割が、朝鮮半島の戦争危機を回避するために大規模な祈祷会が必要と認識していることが分かった。一方、北朝鮮と米国との間に戦争が起こる可能性については、やや楽観的な見方が多いことが分かった。
これは、韓国のキリスト教紙「クリスチャントゥデイ韓国版」が29日、ソウル市内の5大教会で、日曜礼拝に参加した信徒を対象にアンケートを実施、キリスト教徒の戦争に対する危機感と使命に対する考え方を探ったもの。同紙が30日付で報じた。
調査は、市内のメガチャーチ(信徒数1万人以上)のうち、ヨイド純福音教会、オンヌリ教会、永楽教会、明声教会、愛の教会で、日曜午前の礼拝に参加した信徒から無作為に選んだ1300人を対象に礼拝後、実施された。
北朝鮮の核問題が悪化する中、韓国国内では、米国と金正日政権との間に戦争が起こることに対する緊張が高まっている。
調査結果では、「北朝鮮の核危機が悪化し、6月にも朝鮮半島に戦争が勃発すると思うか」という問いに対し、回答者1239人中549人(44.3%)が「まったく思わない」と答えた。また37.0%が「あまり思わない」と回答。北朝鮮の核問題は直接的に戦争につながらないとの見方が強いことを表した。
一方、同じ質問に対し、50歳以上の人の6%が「まず起こると思う」、13%が「起こると思う」と答え、世代によって朝鮮半島の戦争勃発に対する危機感に差があることを示した。
「戦争を回避するためにキリスト教徒による大規模な祈祷会が必要と思うか」という問いに対しては、852人(69.8%)が「必ず祈祷会を行うべき」と答え、20代でも69%が「必ず祈祷会を行うべき」と回答した。また、50歳以上の80%が「必ず祈祷会を行うべき」と答えた。
韓国のキリスト教徒は、ソウル市庁前の広場で、昨年、一昨年と大規模な超教派の祈祷集会を行っている。集会に対する認識には世代間で違いが見られ、50代以上の年齢層では半数以上が「戦争阻止を訴える予見的な声として評価できる集会」とみているのに対し、20代の3割以上が「政治的な色合いの強い集会」と嫌気していた。
福音派教会の連絡組織、韓国基督教総連合会が北朝鮮内の人権状況の悪化を懸念し、金正日政権に対して批判的であることについて、747人(60%)が「望ましい姿勢」と答えた。20代では67%が「望ましい姿勢」と答え、北朝鮮に対する福音派教会の対応が韓国の教会内で、世代を問わず共有されていることが分かった。