バチカンで開かれていたローマ教皇(法王)選出会議「コンクラーベ」は開始から2日目の19日、ドイツ出身で保守派として知られるヨーゼフ・ラッツィンガー(Joseph Ratzinger)枢機卿(78)を第265代教皇に選出した。ラッツィンガー枢機卿は「ベネディクト16世」を名乗る。
システィーナ礼拝堂屋上の煙突から「決定」を知らせる白い煙が上がり、サンピエトロ大聖堂の鐘が鳴って新教皇の誕生を告げた。奏楽隊の演奏が響き渡り、広場に集まった人々はさまざまな国の国旗を振った。新教皇に選ばれたヨーゼフ・ラッツィンガー枢機卿を一目見ようと集まった群衆がサンピエトロ大聖堂前に押し寄せた。
バルコニーに姿を見せた新教皇は群衆に微笑みかけ、一度両手を胸の前で合わせると、歓声を上げる数千人の群衆に向かって両手を高々と揚げた。新教皇が話し始めると群衆は静まり返った。
新教皇は「愛する兄弟姉妹たちよ、偉大なヨハネ・パウロ2世の後継者として、枢機卿たちが私を選びました。主のぶどう園で働くひとりの素直で謙虚な労働者としてです」「神は不足な状況の中でも働き掛け、私を励ましてくださる。私は私自身を皆さんの祈りにゆだねます」と語った。
新教皇が群衆に向かって再び手を振ると、「承認」を意味するかのように群衆が数千の拍手で応答した。
新教皇がバルコニーから部屋に戻った後も、群衆はその場に残り、賛美歌を歌ったりリズミカルに手拍子したりした。会議に参加した枢機卿のうち数人がバルコニーから姿を見せると、群衆から再度大きな拍手が起こった。
新教皇ベネディクト16世は、前教皇ヨハネ・パウロ2世の側近中の側近。前教皇は、人工妊娠中絶、同性結婚等を認めず、女性の司祭職も認めなかった。新教皇もこの路線を継承するとの見方が強い。