17世紀にイングランド王ジェームズ1世の命令で翻訳が行われ、現代に至るまで権威ある英語訳聖書として広く普及している欽定訳聖書(KJV:King James Version)が来年5月、初版刊行から400年を迎える。誕生の地、英国では今年末から来年にかけて様々な記念行事が予定されている。一方、欽定訳聖書に対する若者の認知度は低下している。今週発表された調査によると、35歳以下の英国民の内、約51%が欽定訳聖書を知らないと答えた。
調査は、英国内の欽定訳聖書刊行400年記念行事を推進する団体「キング・ジェームズ・バイブル・トラスト」が実施した。同団体のスポークスマンは英デイリー・メール紙に対し、「世代間で劇的な知識量の低下がある。これは、シェイクスピアよりも英語の発展と普及に大きな影響を与えた偉業(欽定訳聖書の翻訳)においてもだ」と語った。
調査によると、55歳以上の英国民で欽定訳聖書を知らないと答えた人は約28%で、35歳以下の結果と大きな差が出た。
欽定訳聖書は1604年、ジェームズ1世が英国国教会の典礼で統一して用いるための聖書の翻訳を命じたことで、その翻訳作業が始まり、7年後の1611年に初版が刊行された。英国国教会では、19世紀末まで唯一の公式英語聖書として用いられた。荘厳で格調高い文体から、口語訳の普及した現在も多くの愛読者がおり、礼拝で使用している教会もある。