【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は、これまでいかなる避妊具使用も産児制限につながるなどとして強く反対していた。しかし教皇ベネディクト16世は、エイズウイルス(HIV)感染予防のためなど「特定の場合において」コンドームの使用は容認されるとの見解を示した。ドイツ人ジャーナリスト、ペーター・ゼーバルト氏とのインタビューで語った。
11月20日付けのバチカン機関紙『オッセルバトレ・ロマノ』が、ドイツ人ジャーナリストのペーター・ゼーバルト氏の教皇との20時間に及ぶインタビューを元にした著書『世の光=教皇、教会、時の徴』を紹介した中で明らかになった。
インタビューで、教皇はコンドーム使用が認められる場合もありうる一例として売春のケースを挙げたという。ただそれは「道徳的に改善していく一歩」となる場合に限られるとして買売春そのものを認めたわけでないと指摘している。
また教皇は「コンドームが(本来は)HIVに対処する方法ではない」とも述べ、一夫一妻の下でパートナー以外と関係を持たないことが最も有効な感染防止策だとの考えを強調した。
教皇は2009年のアフリカ諸国歴訪の際、記者団に「コンドームを配布してもエイズ対策の解決策ではない。かえって問題を大きくする」と発言、世界保健機関(WHO)や各国政府、一部カトリック神学者から「非科学的」「人命軽視」との批判を受けていた。
『国連合同エイズ計画』は、教皇の発言を「大きな進展」として歓迎している。