9.言葉の力
そしてもう一つ、言葉の力というものがあります。私たちは無責任に言葉をしゃべってしまうことがよくありますが、言葉にはとても大きな力があるのです。聖書によると、神は言葉によって万物を創ったと書かれています。「光よ、あれ!」「魚よ、できよ!」と神が宣言すると、その通りに出来上がるのです。
「言葉には創造する力がある」
法律家としても言葉は重要です。まず法律そのものが言葉です。それから約束も言葉です。一度お互いの間で取り交わされた契約は法的効力を持ちます。もし法律や契約に違反したら、裁判に訴えて、国家権力でそれを強制的に実行させることができるわけです。だから、契約書にサインをしたら大変です。契約書の文面にはとても大きな言葉の力があるのです。
「あなたの言ったとおりになる」−簡単に言うと、こういうことです。
私がここで「ドント・ウォリーだ!」と書いていると、現実にそうなります。よい言葉は繰り返し語る必要があります。心配になったら、「ドント・ウォリーです!神よ、あなたを信頼します!」。それが瞬間的に出るようになれば、心配を寄せ付けません。
聖書によれば、あなたは言葉によって山をも動かすことができます。山は山でも、「問題の山」です。言葉によって、あなたの抱える問題の山を動かすのです。
それには一つだけ条件があります。「疑わない」ことです。疑いながら宣言してもだめです。病気だったら、「必ず治る。必ず治ります。いや、もう治っている!」。それを繰り返し、確信をもって宣言していくことです。
「この問題は初めから解決しているんだ。解決しているんだから、たいしたことはない、なんとかなる。しかも、この問題は益になるんだ!」
これを繰り返し、確信をもって語っていると、現実にそうなるのです。
ヒットラーは、こう言っています。「人間は馬鹿だから、百回同じことを繰り返して言ったら、嘘でも信じる」。それであんな悪いことをやってしまったわけです。私たちは神の言葉、すなわち、愛を伝えます。確信をもって愛のことばを語っていく。そうすると、それが実現していくのです。
私は法廷に立つ時は、必ず聖書を持っていきます。自分の好きな聖書の箇所を開いて、それを読みながら弁護士席で祈る。「神さま、どうかこの裁判を通して、あなたの愛と正義が実現しますように!」。そうすると、不思議にも自分でも予想しなかったよい弁論ができるのです。結果として、すばらしい内容の判決をもらったり、納得できる和解が成立してきました。
(次回へ続く)
佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。このコラムでは、2004年11月6日のインターナショナルVIPクラブ広島特別講演会での講演録を再構成し、一部加筆したものを紹介する。