平和活動家で日本福音ルーテル教会の牧師だった岡正治氏(1919~94)が生前に性加害を行っていた問題で、岡氏の名前を冠していたことなどから、約半年間休館していた長崎市の平和資料館が1日、名称を新たにして再開した。
新名称は「長崎人権平和資料館」。旧名称の「岡まさはる記念長崎平和資料館」から岡氏の名前を削り、「人権」が加えられた。
資料館の理事会は1日、再開に伴い名称変更の経緯をまとめた文書をホームページに掲載。岡氏の性加害を把握していながら対応が遅れたことや、被害者に謝罪した上で、名称の変更や展示の見直しをするため、休館したことなどを説明した。
その上で、「『被害者の痛みを心に刻み 人権保障と戦後補償の実現 そして非戦の誓いを』という基本理念のもと、社会正義や人権を重んじる社会運動の中にも根強く存在する性差別に対して、常に自覚的であり、そして改善のために発言・発信・行動していく資料館であるように変わっていきたい」と表明した。
地元の長崎新聞によると、資料館は休館中に岡氏のコーナーを撤去し、代わりに「性差別と性暴力」のコーナーを新設。岡氏の性加害を把握してから3年余り放置した問題の自己検証を展示するなどしている。新設したコーナーは、まだ検討中の内容があり空白部分も多いが、現代の性暴力に関する展示など、今後随時追加していくという。
その一方で、岡氏が仲間と行った朝鮮人被爆者の実態調査により明らかになった事実については、「歴史的記録」として展示を続けるという。