世界の子どもを支援するキリスト教国際NGO「ワールド・ビジョン」のアンドリュー・モーリー総裁兼最高責任者(CEO)は24日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」が一時休戦に合意し、戦闘が一時的に休止したことを歓迎するメッセージを発表した。
聖公会の牧師でもあるモーリー氏は、ハマスが奇襲攻撃を行った10月7日から、休戦が始まった11月24日までの「過去47日間に見た出来事に打ちひしがれています」とコメント。休戦がちょうど感謝祭の時期に重なったことに触れ、「何百万人もの人々が今週末の感謝祭を祝い、感謝していることを分かち合う中、私も中東の危機の中で行われている戦闘の一時的な休止に感謝したいと思います」と述べた。
「私たちは、悲劇的な出来事の影響を受けた子どもたちのために、そして子どもたちの苦しみがやむように、常に祈ってきました」。モーリー氏はそう言い、この一時休戦が「子どもたちがこれ以上の死と破壊に耐えなければならない状況に終止符を打つものとなるように祈り続けます」と述べた。
その上で、「私は、ワールド・ビジョンが根差すキリスト教精神によって、全ての紛争当事者による長期的な戦闘の停止を強く求めます」と強調。また、長期的な停戦に加え、人道的アクセスの確保がもう一つの最も喫緊な課題であるとし、「助けを必要としている人々に、援助が支障なく確実に届くようにすることは、私たち国際社会の責任です」と訴えた。
イスラエルとハマスは、24日午前7時(日本時間同午後2時)から4日間休戦し、この間にハマスは約240人いるとされる人質のうち50人を解放し、イスラエルは拘束しているパレスチナ人受刑者ら150人を釈放することで合意した。
これまでの報道によると、ハマスはこの4日間に、合意したイスラエル人50人と、合意の枠外で各国政府と交渉を行っていた外国人19人の合わせて69人を解放した。また、イスラエルも28日未明までに150人を釈放した。
さらに、休戦3日目の27日には、休戦期間をさらに2日間延長することで合意。この2日間にも、1日当たりハマスは人質10人を解放し、イスラエルはパレスチナ人受刑者ら30人を釈放することになる見通しだ。しかしそれでも、双方とも休戦期間が終われば戦闘に戻る方針を堅持しており、長期的な停戦への道筋はまだ見えない状況にある。
ワールド・ビジョンは現在、ガザ地区では活動をしていないものの、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区とレバノンで、子どもやその家族に向けた支援活動を行っている。また、ヨルダンやシリアなど、避難民が支援を必要とする他の国・地域でも支援活動を行っており、「今度も危機を乗り越えて支援を続けていきます」としている。