中国の奥地で瀕死の呪(まじな)い師の女性が経験した興味深い証しを紹介したい。米オープンドアーズによると、ティンは闇を呼び出すことを生業とする口寄せの呪い師だった。彼女の地元では、彼女は力のあるシャーマンとして知られていた。中国北西部の周辺地域の多くの村人たちは、精霊(悪霊)の知恵を求めて彼女を訪ねてきたのだ。
誰と結婚すればいいのか、成功するためにはどうしたらいいのか、私の未来はどうなるのだろう、なぜ私は病気なのだろう、私は先祖の霊を怒らせたのだろうかと、人々はそれぞれの問題を持って彼女の元に来る。ティンは、呪い師として成功している自分に喜びを感じていた。
彼女の能力のうわさは、絶望の淵にある人々や好奇心に駆られた何千もの人々を魅了した。それで彼女自らも熱心になって精霊の助言を求めた。しかし精霊たちは、ティンに与えた能力の代償を要求してきたのだ。
悪霊たちの要求に応えられないと、彼女の体調は前触れもなく悪化していった。数日後には寝たきりになり、完全に麻痺してしまった。医師も困惑して、誰も解決できないまま時間だけが過ぎていく。ティンの容態は悪化の一途をたどり、刻一刻が生死を分ける瀬戸際だった。彼女は苦しみを口にすることさえできなかった。死の恐怖は、もはや数センチ手前まで迫っているようにさえ思えた。
彼女は深い眠りについた。そして、そのまどろみの中で、自分を呼ぶ声を聞いた。その時のことをティンは振り返る。
「私はタクシーの後部座席で、兄の運転する車に乗って果てしない暗闇に向かっていました。しかし、そこにまばゆいばかりの白い衣をまとった3人の男が近づいてきたのです。しかし、その光はとてもまぶしく、彼らの顔を見ることはできませんでした。彼らは私に『今、選択しなければならない』と言いました。そして、どこからともなくやって来た黒い衣をまとった2人の男が、私に『さあ、ついて来い』と誘ってきました。私は心の中で、白い衣を着た人の一人がイエス様だと思ったのです。それで私はイエス様について行きました」
ティンが目を覚ますと、奇跡的に体が動くようになっていた。彼女は体が再び動き出し、力が戻ってくるのを感じた。ティンはすぐに夢のことを思い出した。それで「あの白い衣の方について行ったのは、正しい選択だった」と確信したのだ。
彼女は、自分の回復した体を支えているのは彼(イエス様)であることを知っていた。「彼がおられたので、自分は恐ろしい暗闇に落ちずに済んだ」と思い、彼女は、自分の人生をキリストの手に委ねようと決心したのだ。ティンは、このキリストとの不思議な出逢いに、残りの生涯の全てを賭して従った。
しかし、ティンが主イエスに対する自分の信仰を明らかにしたとき、彼女は家族と地域社会から激しい迫害を受けるようになった。中国では、特に地方地域になると、信者は最も厳しい迫害にさらされている。迫害は友人や家族、地域社会など、さまざまなレベルで個人に加えられる。キリスト教に改宗することは、家族の顔に泥を塗る行為で、地域社会への裏切りになるのだ。もしキリスト信者と分かれば、彼らは愛する人たちから勘当され、追放されるだろう。
しかしティンは、どんな困難に直面しようとも、再び口寄せの呪い師に戻ることは決してなかった。もし来た道を戻れば、迫害はやみ、人々は以前のように偉大な呪い師ティンとして彼女をもてはやしただろう。しかし彼女は、どんなに反対が強くとも、夢を通して現れ、瀕死の病から自分を救ってくれた主イエスに仕える道を選んだのだ。
さて、ティンのケースの特殊性は、彼女は誰からも伝道されず、夢の中で主イエスに出会い、信仰に至ったということだ。中国の奥地など、福音が十分に行き届き得ない遠隔地などではまれにある事例だ。
このことから分かるのは、主キリストに届き得ない魂はないということだろう。しかしながら、信仰は一人では完成しない。だからこそ、どのような遠隔地であろうとも、主の御名によって2人でも3人でも集まり、聖書を読み、学び、信じ、伝え、祈り、賛美し、礼拝する教会が必要とされる。そしてオープンドアーズがそうしているように、このような人々に必要なリソースを提供するサポートも重要だ。
中国の奥地など、福音の空白地帯が埋められ、全ての人々が福音を聞き、中国の宣教および世界宣教が達成されるよう祈っていただきたい。
■ 中国の宗教人口
プロテスタント 6・4%
カトリック 1・6%
無宗教 44・4%
儒教 28・5%
仏教 12・5%
イスラム 1・9%