今年の3月22日から4月20日までのイスラム教のラマダンは、多くのキリスト教徒も断食を行う四旬節(イースターまでの40日)と重なる。また今年は「イスラム世界のための30日間の祈り」の30周年にもなる。
この運動(30 Days of Prayer for The Muslim World)は、教会が、地域や海外のイスラム教徒の隣人について学び、祈り、手を差し伸べる努力をより意識的に行うことを目指している。多くのイスラム教徒が霊的な事柄に集中するラマダンと重なるようにと、この祈りの運動は毎年行われてきた。
『イスラムの家に吹く風』の著者であるデビッド・ギャリソン博士は、この祈りの運動の期間に、多くのイスラム教徒がキリストに近づくようになっていると指摘している。
実際、過去1400年間のキリスト教とイスラム教の交流を合わせたよりも、この30年の間にキリストに従うことを進んで決意したイスラム教徒の方が多いという。祈りは確かに状況を変えるのだ。
「隣人のイスラム教徒と知り合うことは、楽しくもあり、目を見開かされる経験でもあります」と、宣教団体OM(オペレーション・モービライゼーション)の関係者は言う。「多くのイスラム教徒にとって、食事のない集まりはあり得ません。共に食事を取ることと、もてなしとは、イスラム共同体で大きな役割を果たしています」
また彼は、アートはムスリムとつながる強力な手段でもある、と指摘する。
「エジプトに住んでいたとき、イスラム美術の様式に魅了されました。友人のアーティストから、漂着したマホガニーの流木をもらったとき、キリスト教とイスラム教のシンボルを彫ることにしたんです。イスラム教徒は、審判の日に自分の善行と悪行を天秤にかけて裁かれると考えています。そこで、天秤の形を工夫して、十字架に作り上げ、アッラーの99の名前のうち、正義のエル・アデルと慈悲のエル・ラーマンを天秤の両脇に彫り込みました」
「このアートピースは、イスラム教徒の隣人たちに多くの関心を持たれ、彼らと重要な会話をするきっかけとなりました。そして彼らの反応の多くは、私を驚かせたのです。ある人はいぶかしげに、またある人はその意味を真摯(しんし)に考え、感動して涙を流す者もありました。アートは、多くの人にとって、言葉では理解できないところに届くものなのです。イスラム文化を理解することは、友人や隣人にイエスについて語りかけ、より多くの会話を引き出す鍵になるのです」
ラマダンの期間中、イスラム教徒の救いに重荷を負っている多くのキリスト者たちが世界中で祈っている。そしてこの祈りは効果的に聞かれている。食事の交わり、アート、奇跡的な体験など、あらゆる方法と機会を用いて、イスラム教徒が救われている。このラマダン中は特にイスラム教徒たちを覚えて、彼らに救いが及ぶように祈っていただきたい。