世界各国のティーンエイジャーを対象にした大規模な国際調査により、彼らがイエスに対して肯定的な思いを抱いていることが明らかになった。その一方で、イエスが世界や自分の人生に与える影響についてはあまり確信が持てずにいることも分かった。
この調査は、米カリフォルニア州に拠点を置くキリスト教世論調査会社「バーナグループ」が、26カ国の13歳から17歳までの、さまざまな信仰グループに属する約2万5千人を対象に行った。
それによると、調査に応じたティーンエイジャーの半数近くが、イエスを「愛に満ちている」(49%)、「希望を与えてくれる」(46%)と表現した。また、5人に2人は「人々を気遣ってくれる」(43%)、3分の1以上が「信頼できる」(39%)、「寛大である」(37%)と答えたという。
また、半数近く(47%)がイエスは十字架にかけられたと信じ、3分の1がイエスは死からよみがえったと信じていた。一方、イエスの十字架上の死を信じる割合は、キリスト教以外の宗教を信じるティーンエイジャーの間では15%、無宗教者の間では13%にとどまった。
イエスについて、自身の理解を最もよく表すものを選ぶ質問では、「人となられた神」が31%で最多だった。
また、聖書に書かれているイエスの特徴のうち、自分にとって最も重要なものは何かを問う質問では、「(罪の)赦(ゆる)しを与えること」が39%で最多だった。
イエスに関する記述の中で、どれが自分にとって最も重要かを問う質問では、「イエスは人となられた神で、私たちの罪を赦すために来られた」が36%で最多だった。
イエスが自分とは「無関係」と答えた人はわずか6%で、「反対者として知られている」と答えた人は10%にすぎなかった。その他、イエスは「実在する今日の諸課題とは関係がない」(8%)、「他者を批判しがち」(7%)、「偽善的」(4%)などの否定的な認識は、肯定的な認識に比べ全体的に少なかった。
「十代の若者がイエスを悪く思うことはまれです。イエスに対する印象は、国際的に見て、信頼でき、寛大であり、賢明であるというものです」と、バーナグループ社は調査結果で述べている。
しかし、イエスに対する認識が肯定的であるにもかかわらず、イエスが今日の世界を本当に変えていると考えるティーンエイジャーは約4分の1(24%)しかおらず、イエスと個人的な関係を持てると信じている人も同じ程度(23%)しかいなかった。
「イエスが個人的に、そして積極的に今日の生活に関与しているという感覚については、ずれが見られます。ティーンエイジャーたちは、イエスが示した人生の原則やその人格を称賛していますが、他方、イエスの受肉、復活、現代との関連性については、世代を超えてほとんど理解されておらず、または信じられていないのです。
これはティーンエイジャーに限ったことではなく、特にキリスト教界で彼らを教え導いてきた人々にも見られることです。大人たちは若い世代に、彼らが称賛するイエスの原則が、日常の生活でも重要であることを示してきたのでしょうか」
また、イエスに対する肯定的な認識にもかかわらず、ティーンエイジャーたちのクリスチャンに対する評価はより控えめで、クリスチャンを「愛に満ちている」存在だと見ているのは31%のみだった。また、42%がイエスは賢明であると答えたのに対し、クリスチャンについて同じように感じているのは18%にすぎなかった。
これらの結果は、バーナグループ社の「オープン・ジェネレーション調査」(英語)の第1弾によるもの。第1弾(英語)はイエス・キリストに対する意識調査で、同社は「聖書」と「正義」それぞれに対するティーンエイジャーの意識を調査した、第2弾と第3弾も間もなく発表する予定だ。
同社のデイビッド・キナマン最高経営責任者(CEO)は、一連の調査について次のように述べている。
「この調査は、今日の十代の若者たちの声に耳を傾けるために行われました。この調査から、この世代はオープンで包容力があり、異なる信仰や考え方に対して好奇心が旺盛であるという印象を受けました。私たちのデータは、この世代がイエスと深く関わらないかもしれないが、イエスに対して開かれた心を持っており、ひとたびイエスと関わるときには肯定的な効果を経験するだろうということを示唆しました。私たちの目標は、世界中の教会に向けて新しい世代の姿を明らかにすることで、彼らが適切かつ意味のあるやり方で十代の若者に関与し、また支援できるようにすることです」
調査は、アルファ、ビブリカ、ワールド・ビジョンが協力し、クリスチャン・ビジョン、バイブル・スタディー・フェローシップ、クライスト・イン・ユース、国際キリスト教学校協会からの支援を受けて行われた。
対象国は、北米2カ国(米国、カナダ)、中南米4カ国(メキシコ、ブラジル、コロンビア、ホンジュラス)、欧州8カ国(英国、アイルランド、スペイン、ドイツ、フランス、オランダ、ポーランド、ロシア)、オセアニア2カ国(オーストラリア、ニュージーランド)、アジア6カ国(インドネシア、韓国、マレーシア、台湾、インド、フィリピン)、アフリカ4カ国(エジプト、ケニア、ナイジェリア、南アフリカ)の計26カ国。ホンジュラスは301人、ニュージーランドは713人、エジプトは753人が回答しており、他の23カ国はいずれも約千人が回答した。
アルファ・インターナショナルのダン・ブライス国際青年担当ディレクターは、調査について次のように述べた。
「数世代前の若者たちは、見られることはあっても、意見を聞かれることはなかったはずです。しかし若者をそのように扱うことは、現代では通用しません。彼らを巻き込み、彼らとの協働を望むのであれば、次のことを知るべきです。
すなわち、この世代は『聞かれること』が大好きだということを。オープン・ジェネレーション調査は、世界中の2万5千人弱のティーンエイジャーたちの『イエス』『聖書』『正義』についての考えを共有する国際的な傾聴活動です。
私は、ティーンエイジャーに心を寄せる全ての人が、諦めることなく彼らに耳を傾け、彼らから学び、彼らを愛し、彼らをよく導くことができるよう、励まし、備え、力を与えていきたいと思います」