米キリスト教テクノロジー企業のフェイスライフ社が、2021年に教会で歌われた賛美歌270万曲と、語られた説教9万1千回分を調査し、人気のあった賛美歌と説教の傾向をまとめた報告書を発表した。
ロゴス聖書ソフトウェア(英語)の開発元として知られるフェイスライフ社が発表したのは、「2021年賛美歌・説教報告書」(英語)。報告書は、同社開発の教会用プレゼンテーションソフト「フェイスライフ・プロクレイム」によって得られた70万5千件を超えるデータを用いて、教会で歌われた賛美歌の傾向を調査。また、同じく同社開発の説教支援サービス「フェイスライフ・サーモンズ」に投稿されたデータに基づき、最も取り上げられた説教のテーマについてまとめた。
2021年に最も人気のあった賛美歌
報告書によると、2021年に最も人気のあった賛美歌は、パット・バレットが2016年に発表した「Build My Life」だった。この曲は、20年は2位、19年は1位を獲得している。
次に人気だったのは、20年に1位を獲得したナイジェリア出身の女性歌手 Sinach が15年に発表し、その後さまざまな歌手、グループにカバーされた「Way Maker」だった。
3位は All Sons & Daughters の「Great Are You Lord」。その後に、ベテル・ミュージックのジーン・ジョンソンによる「Goodness of God」、マット・レッドマンの「10,000 Reasons」、クリス・トムリンの「How Great Is Our God」が続いた。
報告書によると、上位20曲の平均発表後年数は11年強で、1949年に英訳歌詞が発表された「How Great Thou Art(輝く日を仰ぐとき)」がその引き上げ役となった。上位10曲にしぼると、平均発表後年数は8・6年と、さらに若くなる。
トップ20の中で最も新しい曲は、エレベーション・ワーシップとブランドン・レイクによる19年発表の「Graves Into Gardens」。21年の上位曲リストに唯一新しく加わった曲で、9位につけた。
伝統的な賛美歌も、人気のワーシップソングと並び、引き続き礼拝で歌われる曲として上位にランクインした。マット・マーの「Lord, I Need You」が14位、クリス・トムリンの「Amazing Grace(My Chains Are Gone)」が16位、ヒルソング・ワーシップの「Cornerstone」が17位という中、「How Great Thou Art」は13位につけている。
2021年に最も語られた説教のテーマ
21年に語られた説教の多くは、20年に語られたテーマを踏襲する内容だった。しかし、最も多く語られたテーマである「終末論・復活」は、20年に比べ6倍も多く取り上げられ、21年に特に人気が高まったテーマとなった。
2番目に多く取り扱われたテーマは「恵み」で、前年の4倍の人気だった。他には、「家族・子ども」「創造・再生」「哲学」「リバイバル」「カルト」「妥協」「迫害」「ホスピタリティー」などのテーマが人気を集めた。
報告書は、「これらのテーマは、多くの教会が直面している内的・外的な緊張を示しています」と指摘。「(人々が)恐れや希望、単に生き残れればという思いの間で揺れ動く中、説教者たちは、聖書が自分たちの苦悩にどう適応できるのかを理解してもらうために、説教の多くをささげました」としている。
2021年に説教で最も多く引用された聖書箇所
21年に説教で最も多く引用された聖書箇所は、ヨハネによる福音書3章16節の「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである」だった。
2番目に多く引用された聖書箇所は、マタイによる福音書28章18~20節の「イエスは、近寄って来て言われた。『わたしは天と地の一切の権能を授かっている。だから、あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる』」だった。
その他には、エフェソの信徒への手紙2章8節、使徒言行録1章8節、ヨハネによる福音書1章1節なども人気があった。
21年に使用頻度が大幅に増加した聖書箇所もあった。エフェソの信徒への手紙3章14~21節は、20年に比べ26パーセント増加した。他に、ヨハネによる福音書17章6~19節、同14章8~21節、使徒言行録2章14~39節、同2章40~47節、テモテへの手紙二2章1~13節なども、20年に比べ使用頻度が大幅に増加した。
フェイスライフ社は声明で、「最も多く引用された10の聖句にはあまり驚きはありませんが、昨年1年間で、聖書の全3万1102節のうち2万9321節(94パーセント)が、少なくとも1回は説教で言及されたことは発見でした」としている。
同社のビク・ラジャゴパル最高経営責任者(CEO)は、これらのデータは、新型コロナウイルスのパンデミックという困難な状況の中、教会の指導者たちが地域社会や会衆のニーズにどのように応えてきたかを示していると指摘。「昨年人気があった説教のテーマは、世界がパンデミックの難局の中にあっても、教会はイエスにある希望という神の真理を伝えてきたということを証明しています」と語った。