・・・「恐れることはありません。今、私はこの民全体のためのすばらしい喜びを知らせに来たのです。きょうダビデの町で、あなたがたのために、救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。あなたがたは、布にくるまって飼葉おけに寝ておられるみどりごを見つけます。これが、あなたがたのためのしるしです。」(ルカの福音書2章8節〜12節)
素直に、自分が働くことができるということに感謝したいと思います。良いことに対して屁理屈は必要ありません。人を愛すること、信じること、与えることなど人生の大切なものを素直に喜びましょう。
現役復帰したばかりのテニスの伊達公子選手が、なんと若手を抑えて日本一になりました。このことからも人間は心の内側からの動機付けが大切だと思わされました。やはり、その人の心の内側にあるもので、表情や人生の中に起こってくること、また引き寄せるものまで変わってきます。
今日開いたのは聖書の有名なクリスマスの物語。このイエスの誕生を伝えるルカの福音書は何度も「きょう」や「今」という言葉を語っています。救い主であるイエスの恵みは今この瞬間与えられる、と聖書は約束しているのです。
今ここで働かれる主を確実に掴み取るために3つのことを心の中に受け止めましょう。
1.不安定な将来からの解放
シメオンという老人は、救い主が生まれるまで決して死なないという、神からの言葉を与えられていました。彼は、幼子イエスを抱きしめたとき、聖霊の力によって、はっきりとその子が、彼が待ち望んでいた、この世を変え、人々を救う、まことの救い主だと知って喜んだのでした。
イエスがお生まれ下さったことによって、いつ実現するか分からない、当てにならない将来は、確実に実現するものとなったのです。イエスが来て下さると、過去現在未来を生きている私たちの生活の中に今日、今ここで神の恵みが起こるのです。
イエスは人々の前に救い主としてお姿を現わされた時、会堂でイザヤ書を読んだ後にこう語られました。「きょう、聖書のこのみことばが、あなたがたが聞いたとおり実現しました。」(ルカ4:21)私たちは、夢や希望を描いても、将来に不安を抱いたり迷い続けたりしますが、イエスは、今ここでそれを実現して下さるのです。
2.苦々しい過去からの解放
取税人だったザアカイは金銭的には豊かでしたが、心に喜びはありませんでした。イエスの噂はその地方一帯に広がり、エリコの町にイエスが来るという時、背の低かったザアカイもイエスをひと目見たいと思い、木に登ってイエスを見ていました。すると、その木の下に来た時、イエスの方からザアカイに目を留め、「あなたの家に泊まる」と言われたのです。イエスを家に迎えたザアカイは、今まで彼を縛り付けていたお金から解放されていく自分を感じました。その瞬間、語りました。「私の財産の半分を人々に施し、だまし取ったものは4倍にしてお返しして償います。」金の奴隷であった彼に起こりえないことが起こったのです。その時にイエスは「きょう、救いがこの家に来た。」と言われました。
イエス・キリストがいて下さることによって、本物の救いが与えられ、私たちは、苦々しい過去から今日、解放されるのです。不確かな将来も、苦々しい過去も、イエスが共にいて下さるときに全て救いへと導かれます。
3.今この場所で実現する神の救い
イエスがいて下さると、今日、この瞬間、神の御業は動き始め、私たち一人一人がその恵みを体験する者となります。イエスが中風の人を癒されたとき、人々は「私たちは、きょう、驚くべきことを見た。」と言い、恐怖で体が震えるほどに、神の臨在を感じたのです。また、イエスと共に十字架に付けられた強盗が、人生の最期の瞬間に、自分の罪を悔い改め、キリストを受け入れた時、主は「きょう、あなたの魂は私と共にパラダイスにある。」と語り、彼は十字架の上で苦しみながらも、その瞬間救われたのです。
私たちは時間の経過の中に生きていますが、本当に向き合うことができるのは、今という時だけです。そしてイエスは、あなたの今、という時に働いて下さり、あなたの生活の全ての面における悩みに対して、神の御手の業を現わし、解放し、人生を変えて下さるのです。だから心から感謝し、クリスマスを祝いたいのです。
多くの人々は病んでいます。子供から大人まで救いを必要としています。私たちは主のご誕生を本気で祝い、もう一度新しくされて身近な人々に証しする者になりましょう。そして彼らのために救いを祈っていきましょう。
今ここで働かれる主を、私たちは掴み取りたいと思います。私たちの将来も過去も、イエスがいて下さるときに、今ここで取り扱われ、贖われます。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。