この度発表された米大統領選挙に関する世論調査で、民主党のバラック・オバマ上院議員が米国内の信仰を持つ有権者の間で支持を広げていることが明らかになった。
「公共生活における信仰」のスポンサーのもと、ワシントンDCに本部を置く公共宗教調査が行なった世論調査「信仰と米国の政治調査」によると、04年の民主党大統領候補であったジョン・ケリー上院議員と比較して、オバマ氏は毎月1回か2回は教会に行くと答えた有権者の間でより多くの支持を得ていることが分かった。04年のケリー氏は49%であったのに対して、オバマ氏は60%と大きくその支持を広げた。
また、04年の大統領戦とは異なって、多くの米国人が民主党が共和党よりもより宗教に対して友好的だと答える結果になった。49%の米国人が民主党候補のオバマ氏について宗教に対して友好的だと答えたのに対し、共和党候補のジョン・マケイン上院議員が宗教に対して友好的だと答えた人は45%にとどまった。04年の大統領戦では、共和党のジョージ・ブッシュ現大統領が、この項目において60%を獲得していたのに対して大きく異なる。
また今回の調査では、71%の米国人が宗教的価値観に関して満足できる話をすることが、大統領戦において重要だと感じていることが分かった。
さらに今回の調査は、特にカトリック教徒とプロテスタントの福音主義者の中で比較的若年の層について詳細な分析を行なった。
それによれば、カトリック教徒の若年層(18〜34歳)では、年配層(35歳以上)に比べてオバマ氏を支持する傾向が見られた。若年層のオバマ氏支持が55%、マケイン氏支持が40%であったのに対し、年配層ではそれぞれ46%、44%の支持でほぼ同数となった。
また、カトリック教徒の若年層の間では妊娠中絶支持の立場をとる傾向が強く、10人に6人が、すべてあるいは多くの場合において妊娠中絶を法的に認めるべきだとしている。一方、年配層では妊娠中絶の合法化に関しては賛成・反対が約半数ずつで意見が分かれている。
しかし、白人プロテスタントの福音主義者の中では、若年層でも依然として妊娠中絶に反対する声が大きく、3人に2人が妊娠中絶の合法化に否定的だ。このような人々のマケイン氏支持は65%と非常に高い。
一方で、妊娠中絶と並んで取り上げられる同性愛に関しては、白人プロテスタントの福音主義者でも、若年層は妊娠中絶とは異なって支持する傾向が強い。白人プロテスタントの福音主義者では、年配層の61%が同性愛に反対であるのに対して、若年層では同性愛結婚、シビル・ユニオンに反対する人々はそれぞれ24%、28%とにとどまった。
米誌ニューズウィークが10日発表した全米の有権者1040人を対象にした世論調査によれば、オバマ氏は支持率52%を獲得し、マケイン氏の41%に11ポイントの差をつけて優勢な状況にある。米大統領選では「宗教的価値観」も結果を左右する大きな要因となっており、今回の調査で明らかになった「宗教票」においてもオバマ氏が優勢と言えそうだ。
世論調査「信仰と米国の政治調査」は、全米の有権者2000人を対象に電話による対話形式で、8月28日から9月19日までの間に行なわれた。