聖学院大学(埼玉県上尾市)は23日、東日本大震災で被災した家族や教師などの支援者に向けた冊子『子どもの心にそっと寄り添う-第6集 進学と就職を考える』を発行した。東日本大震災から6年。被災地の子どもたちが抱える進路の問題に目を向け、アンケートや取材を行い、必要な支援を考える冊子となっている。巻末には、経済的・教育的支援、心のケアを行う団体も掲載されている。
同冊子は、2012年からその時々にあったテーマで編集し、被災地の学校や教育団体を中心に無料配布を行っている。編集・発行を手掛けるのは、聖学院大学人間福祉学部こども心理学科。多くの子どもたちが心に傷を負うこととなった東日本大震災をきっかけに、2012年4月に誕生した学科だ。
第6集となる今回は、「進学と就職」をテーマにしており、震災当時、小学校6年生だった子どもたちが、進学や就職を迎えようとする時期、子どもたちの教育の現場で役に立つように編集されている。執筆は、こども心理学科長の和田雅史教授、2016年に「災害科学科」を開設した宮城県多賀城高等学校(宮城県多賀城市)の佐々木克敬教頭、千葉祥教諭、シャンティ国際ボランティア会の鎌倉幸子専門アドバイザーが担当している。またチャンス・フォー・チルドレンの取り組みについての報告も寄せられている。
また、東北地方の高校や、冊子の読者を中心にアンケートを実施し、震災を経験した子どもたちが志や夢をどのようにかなえようとしているのか、どのような悩みを抱えているのかなども紹介されている。さらに、巻末資料として、子どもに関する支援活動に取り組む団体リストや、経済的支援、または情報を提供する団体が一覧表となって掲載されている。
こども心理学科長の和田教授は巻頭で、見落とされがちになっている子どもたちの進学や就職について取材し、まとめられたことについて感謝を伝えている。また、冊子を通して、「震災によって傷ついた子どもたちの心にそっと寄り添い、少しでも慰めや希望のある未来へ、突き進むきっかけとなることを期待しております」と語っている。
冊子は、被災地の学校や教育団体を中心に初版5千冊を無料配布する。申し込みは、専用の申し込みフォーム、または、氏名、送付先住所、電話、目的、部数を記載の上、メール([email protected])またはFAX(048・725・6891)で。