現役の少年院法務教官である犬飼誠氏(日本福音ルーテル大阪教会会員)による講演会が24日、大阪府東大阪市のアドラムキリスト教会(野田詠氏牧師)で行われた。犬飼氏は、少子化が進んでいるのにも関わらず収容者が増加していることを挙げ、青少年犯罪を助長する要因が現代社会自体にあるのではないかと語った。
犬飼氏は、赤ん坊が泣くことによって「お乳が必要」「おしめを換えて欲しい」と表現し、助けを求めるのと同じく、犯罪に走ってしまう子どもたちは涙を流す代わりに、犯罪を犯すことで「自分を気にかけて欲しい」と助けてを求めていると伝えた。また、子どもの心の叫びに耳を傾け、回復するまで焦らずに待つことが大切だと語った。
犬飼氏が勤める浪速少年院では、ここ10年間で収容者が約2倍にまで増加したという。少子化問題が叫ばれるなか、青少年による犯罪が増えていることについて犬飼氏は、教師の権限が低下した学校教育、暴力的なゲームなどが影響しているのではないかと挙げ、物質的な豊かさの影で精神的な貧しさがはびこっているのではないかと語った。
講演に参加した多くは子を持つ親であり、犬飼氏が語る少年非行の原因や問題について、時折深くうなずきながら、我が家庭でも起こりうるかもしれないこととして真剣に耳を傾けた。
同教会では、活動の一環としてこれまでにも非行や薬物に悩む若者やその家族へ向けた取り組みを行っており、全国紙でも取り上げられた。「本気で神に従う」を教会のモットーとして歩んでいる。