国際NGO「グッドネーバーズ・ジャパン」(GNJP)が主催する「第3回親子でチャレンジ国際理解! ちびっこおえかきコンテスト」の表彰式が2月27日、ベネッセ多摩オフィス(東京都多摩市)で行われた。今回は前回の倍近く1715作品の応募があり、その中から最優秀賞1作品、優秀賞3作品、審査員賞3作品、企業賞2作品、GNJP・ベネッセこども基金賞2作品、団体賞1園、佳作40作品が選出された。表彰式には、受賞した園児36人と、160人を超える家族や園の教諭らが来場し、たくさんの子どもたちの笑顔が溢れる式典となった。
同コンテストは、未来を担う子どもたちが世界に触れるきっかけを作ることを目的としている。途上国に住む一人の子どもの生活を題材にしたDVDを鑑賞し、その子に向けた絵を描くことを通して、親子で国際理解を深める。
今回のDVDは、アフリカ南部ザンビアに住む8歳の男の子、マスントゥくんの一日を追った内容となっていた。マスントゥくんは朝から日没まで土を掘る仕事に従事している。一日中働いても一日一食しか食べることができず、遠くまで歩いて取りに行った水を飲みながら、一生懸命石を運ぶ毎日。本当は友達と一緒に学校で勉強したい・・・それがマスントゥくんの願いだ。
そんなマスントゥくんに向けた応援メッセージを、日本の幼稚園・保育園の子どもたちが絵に描いた。審査員の一人、花原幹夫氏(白梅学園短期大学教授)は、「一人一人の子どもたちの絵のマスントゥ君への思いが、子どもたちそれぞれの違った感性で表現されていたと、子どもたちの多くの素敵な絵に接して感じた。それぞれが違った感性や表現であることがいい。子どもたちが楽しんで描いている様子と、保護者の方と楽しくやりとりをしている様子も、よく伝わってきた」と総評する。
最優秀賞に選ばれた、にしざわたいしくん(6歳、カイルアインターナショナルスクール)の作品は、サッカーボールやハンバーガー、ジュースなど、マスントゥくんが喜ぶと思うものがたくさん描かれている。審査員の藤崎実氏(クリエイティブディレクター)は「普通使わない色を使っているところに子どもの想像力の豊かさを感じる。マスントゥくんに届けたいものがたくさん散りばめられていて、たいしくんの思いがこもっている」、内藤敦子氏(日本放送協会・デザインセンター映像デザイン部)は「色の捉え方・色彩が素晴らしい」と評価した。
表彰式では、子どもたち一人一人に賞状・賞品が手渡された。大勢の来場者が見守る中、子どもたちからは少し緊張している様子が伝わってきたが、名前を呼ばれたときの返事の仕方やステージへの上がり方などにそれぞれの個性が見られ、時折笑いも起こるような終始温かい雰囲気で式は進行した。
会場では、受賞作品と共に、ホームページ上では紹介しきれなかった、保護者からマスントゥくんに宛てた応援メッセージも展示された。また子どもたちは、マスントゥくんが毎日している水汲みの仕事を体験。3リットル以上も入った水タンクの重さを実感していた。
GNJPによると、コンテストに参加した来場者からは、「マスントゥくんという会ったことのない男の子を通して世界の一部を見られたかと思う。一人の男の子を意識して書いた絵は心がこもっている」「今まで日本以外の国の話題はなかったが、今回のことで日本以外にも国があり、肌の色や言葉の違う人々がいることを知ることができた」「食事に苦手なものがあっても『マスントゥくんはごはんたくさん食べられないから、食べる!』と食べるようになった」といった感想が多数寄せられたという。
グッドネーバーズは、ザンビアでも支援活動を展開しており、今回の受賞作品はマンストゥくん本人に届けられる。マスントゥくんのように、家族のために働かなくてはならない子どもが世界には大勢おり、同団体は、そのような状況にある子どもたちの健やかな成長を助けるために活動を続けている。GNJPは「ザンビアで暮らすマスントゥくんのことが、今回のコンテストに参加した子どもたちの心の中に残ってくれれば」と願っているという。