16日に出版されたケンブリッジ大学の新しい研究論文によると、無神論は現代に起こったものではなく、むしろ紀元前500年までさかのぼるものだという。
この研究の著者でケンブリッジ大学でギリシャ文化を研究するティム・ウィットマーシュ教授は、テレグラフ紙に、「神の存在を疑う意見を人々がまとめていた証拠があります。紀元前5世紀にはまだ概略程度でしたが、紀元前2世紀ごろからは詳細な議論となっていました」と語った。
16日に発売された『Battling with the Gods(神々との戦い)』の中でウィットマーシュ教授は、無神論が現代の、ポスト啓蒙主義的なものだという「神話」が偽りであることを証明しようとしている。
「信奉者は科学の進歩が宗教を失墜させた結果として、超自然的な存在に対し懐疑論を出そうと願う。一方、宗教者は資本主義によって消費された退廃的な西欧諸国の病理的な現象としてそれを解釈しようと願う。両者とも現代主義の虚栄の罪がある。超自然的な存在に対する不信仰ははるか昔から存在する」
テレグラフ紙に対し、ウィットマーシュ教授は、「無神論はもちろんギリシャ語からくる言葉です。否定的な意味を持つ語として生まれましたが、人々がこの言葉を肯定的な意味に使っていた証拠があると考えています」と語った。
「それ(無神論)を説明する言葉は過度に現代的」であり、現実は「古代の社会は、その後の世代のどの社会よりも、人々が通常のものとして無神論を受け入れていました」とウィットマーシュ教授。
『神々との戦い』は、紀元前570年ごろに生まれた哲学者クセノパネスや、神の存在に反対する議論をまとめた紀元前214年に生まれたカルネアデスなどの古代のギリシャ思想家の作品から無神論の証左を引用している。
ウィットマーシュ教授は、「これらの古代の無神論者は、宗教は自分自身の世界に直感的に存在しないものを受け入れることを求めるものだという、逆説的な性質に対する全般的な批判意見を作ろうとしていた。このことが数千年前に起こっていたという事実は、不信仰が全ての文化で存在し得ること、そしておそらくいつも存在しているということを示している」と述べている。