英石油大手「BP」が、来年から同社の気候変動に関する取り組みの状況について、定期的に開示し報告すると決定したことについて、英国国教会は気候変動問題における大きな勝利だとして歓迎した。
BP社の株主らは、先月16日に開催された株主総会で、来年以降、同社の気候変動に関する取り組みやそれがもたらす効果について、同社が定期的に報告しなければならないとする決議案を、98%という圧倒的多数で可決した。英国において、環境問題に関する決議案が株主総会に提出されたのはこれが初めてで、また、そのような決議案が承認されたのも初めて。
英国国教会の61億ポンド(約1兆850億円)余りの資産を運用する資産運用機関「チャーチ・コミッショナーズ」の責任投資代表であるエドワード・メイソン氏は、「これは、気候変動問題に対する、BP社とその投資家たちの関係において大きな一歩です」と評価し、この決定を歓迎した。
英国国教会の国内投資機関はこれまで、BP社と共に気候変動に関する3カ年計画を行ってきた。
一方、今回の決定は、あくまでもBP社の気候変動に関する取り組みを開示・報告するという決定で、温室効果ガスの削減目標など、気候変動に関する具体的な数値目標などは含まれていない。
そのためメイソン氏は、BP社が今後、CO2など温室効果ガスの排出量をどのように削減するのか、具体的に提示することに努めなければならないと指摘している。メイソン氏は、BP社が投資しようとしているプロジェクトが、CO2排出量の少ない低炭素社会に対応可能であるのか、またその方法は低炭素エネルギーを使用するものなのか、さらに、低炭素社会への移行という変化の時期に、経営陣が社員らに対し何をもってやる気を起こさせようとし、またBP社が行う公共政策がどのようなものであるかなどを明白にする必要があると求めている。
一方、「この目標値の開示によって、投資家たちは、BP社がエネルギーシステムにおいて、持続可能なプレーヤーであることを自ら位置付けているかどうかを判断することができます。この目標の結果についての開示は、ますます複雑かつ急速に変化するエネルギー環境という長期間の戦略に対し、会社と投資家たちの間での突っ込んだ議論を啓発することになるでしょう」と、期待を示した。
また、「気候変動問題は、会議の席で永久に問われる事項となるでしょう。これは、投資家たちが永久に関与する項目です」と強調。「エネルギー企業にとって、気候変動に対する答えは簡単ではありません。しかし、投資家は質問をしなければなりません。今日の投資家はそうすることを始めました」と語った。
一方、英蘭系の石油会社ロイヤル・ダッチ・シェルも、今月19日に行われる株主総会で、BP社と同じ内容の決議案を出す予定で、株主らに議案を支持するよう推奨している。