和解と平和を求める「世界祈祷日」。120年以上の歴史を持つこの祈りの日となった3月6日、「イエスの究極の愛」を共通のテーマに、日本でも全国61カ所で祈りの集会が開かれた。
世界祈祷日は、1887年に米国の女性たちが、移住者や抑圧されている人たちを覚えて祈り合ったのが始まり。その後、2度の世界大戦を経験し、和解と平和を求める祈りへと教派を超えて広がったという。現在では、世界祈祷日国際委員会(WDP)が中心となり、世界中で毎年3月第1金曜日に世界祈祷日が守られている。
世界祈祷日では、毎年テーマ国を決め、式文を起草してもらい、それに沿って世界各地で集会が進められる。今年のテーマ国は中米の島国バハマ。式文を起草した同国の姉妹たちが、御言葉を通して見つけたイエスの行為に対する答え――「イエスの究極の愛(ラディカル・ラブ)」を共通テーマに、キリストの愛を世界中に広めようと祈り合った。
東京の町田・八王子地区の会場となった日本基督教団原町田教会(町田市)では、13教会120人が集まり、日本から遠く離れたバハマからの招きに耳を傾け、同国の島の人々と共に心を合わせて、祈りと賛美をささげた。この日の集会の司会者によると、同国では現在、ほとんどの島々で世界祈祷日が守られ、祝われており、参加するエキュメニカルな教団・教派は10を超えるという。
同国の姉妹たちが起草した式文に沿って進められた集会では、同国の12の島々からの証と賛美が会場の人々と交わされたあと、黙想に続き、2015年の世界祈祷日礼拝の主な聖書箇所であるヨハネによる福音書13章1〜17節を通して、原町田教会の宮島牧人牧師からメッセージが取り次がれた。
中心聖句は、「わたしがあなたがたにしたことが分かるか」。メッセージの中で宮島牧師は、「イエス様はどうして裏切ると分かっている弟子の足を洗ったのか」と問い掛けた。そして、「親切にしても恩知らずと言われたり、助けた人からひどい仕打ちに遭ったりしても足を洗えるのはイエス様だけだと私たちは思ってしまう」と人間の現実の姿を明かした。
しかし、思ってもみないところにも恵みがあるとし、「足を洗うところに、イエス様は共にいてくださる。このことをバハマの人たちが教えてくれる」と式文の証の素晴らしさを語った。その上で、「神様は、私たちを神の恵みによって足を洗える者へと変えてくださる」と結んだ。
宮島牧師のメッセージと祈りのあと、世界各地の医療施設や救援施設、収容所などの名を挙げてとりなしの祈りが行われ、同国の3つの島々と会場による感謝の祈りがささげられた。最後に「あなたが弟子たちや私たちにしてくださったように、私たちも主にある究極の愛をもって隣人に仕えることができるように」という、同国のハーバー島からの派遣の祈りがささげられ、祝祷により閉会した。
集会後、教会が用意したお茶とお菓子をいただきながら、この日参加した13教会から近況と活動の報告の時間が持たれた。それぞれの教会に与えられている祝福と試練について、集まった人たちと共に分かち合った。
開催場所となった原町田教会は幼稚園が隣接しており、子どもの声が時折聞えている中での集会だった。参加者は、「子どもの声が一層穏やかな気持ちにさせてくれた」と帰り際に感想を述べていた。こうした子どもたちの母親や、働く若い女性について、まず礼拝に来てもらい、交わることができればいいと宮島牧師は言う。
なお、この日ささげられた献金は10万円を超え、日本キリスト教協議会(NCC)女性委員会を通して、WDPに全額送金される。