私は、人の前に立つことが苦手でした。緊張して、手に汗を握り、心臓の鼓動は早くなり、自分の実力を十分に発揮することができませんでした。緊張に弱い私でも、牧師になってしまったからには、人の前でお話をしたり、歌ったり、リーダーとして指導をしなければなりません。緊張は言い訳にはなりません。牧師になるための神学生時代、朝のお祈り会でお話しをする番が定期的に回ってきました。その数日前から食べ物は喉を通らなくなり、前日の夜には、一睡もできなかったこともあります。終わるとホッとしますので、安堵とともに大喜びをしたことを思い出します。
「このままではいけない」と思いました。そこで、緊張する心と向き合ってみることにしました。向かい合ってみると、(1)失敗を恐れる心、(2)人によく見せたいと思う心、(3)自分が小さい者であるという劣等感、(4)その他、心の中にさまざまな緊張を引き起こす原因がありました。
私は、それらの原因を認め、神に祈りはじめました。するとどうでしょう。しばらくすると、心がだんだん落ち着いてきました。そして、心が変化しました。「失敗してもいい!」「よく見られなくてもいい!」「ありのままの自分でいい!」「神が私を愛し、私と共におられるから大丈夫!」「できる!」
そして、今まで障害だと思えた緊張が、私の原動力に変わりました。教会で講壇に立って説教をするとき、街頭に立って演説をするとき、ステージに立って歌ったり演奏をするとき、TVやラジオに出演するとき、もし緊張しなかったとしたら、私の原動力もないことになり、平凡で退屈なもので終わってしまうことでしょう。
あなたが、仕事の大切な局面において、緊張で声が上ずり、体にガチガチに力が入り、動きはぎこちなく、しゃべる内容も忘れて頭が真っ白になってしまったらどうしたらいいでしょうか。あせらず、あわてず、ありのままの気持ちで神様に祈りはじめてください。緊張は、次第に落ち着き、代わりに、あなたを最高の状態に引き上げてくれます。しかも、緊張が原動力に変わると、人々に感動や情熱を与え、人々の心を動かすパワーとなり、最高の仕事ができるようになります。緊張は悪いものではありません。感謝すべきものです。
そして、緊張を原動力に変える秘訣は祈りです。えっ!?そんな簡単なこと?と思われるかもしれません。しかし、私は、それで牧師の仕事をしてきました。「悩みの日にわたしを呼べ、わたしはあなたを助け、あなたはわたしをあがめるであろう」(詩編50:15)と聖書は語ります。
どんな仕事でも緊張はつきものです。緊張に圧倒され、押しつぶされていたら、それはマイナスに働いてしまいます。祈りによって緊張を仕事の原動力に変えて、今日も、一日最高の仕事をさせていただきましょう。神様の祝福をお祈りします。
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菅野直基(かんの・なおき)
1971年東京都生まれ。新宿福興教会牧師。子ども公園伝道、路傍伝道、ホームレス救済伝道、買売春レスキュー・ミッション等、地域に根ざした宣教活動や、海外や国内での巡回伝道、各種聖会での讃美リードや奏楽、日本の津々浦々での冠婚葬祭の司式等、幅広く奉仕している。日本民族総福音化運動協議会理事。
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