世界教会協議会(WCC)は、4月4日から7日まで、スリランカの首都コロンボで、移住と人身取引(人身売買)・現代奴隷制のつながりを探究する国際会議を開催すると発表した。この会議の焦点は、危険な移動中や移住先の国々で暴力や虐待および搾取に直面する何千人もの移住者に関するものだという。
WCC中央委員会は2011年2月、私たちの国土に住む寄留者や旅人に対するもてなしや気遣いの共同社会を創るようにという聖書に一貫した招きに照らし、また正しい人たちはキリストご自身に対して述べるのと同じ敬意をもって旅人を気遣うものだというキリストの物語(マタイによる福音書25章)を思い起こし、教会が世界の移住者や移住労働者の苦難を気遣う必要があるとして、彼らの権利に関する覚書を承認した。
コロンボで行われるこの会議は、WCC国際問題教会委員会(CCIA)とアジアキリスト教協議会(CCA)が主催し、スリランカキリスト教協議会(NCC−SL)が開催地での接待役を務める。
「移住と人身取引:現代の奴隷制か?」をテーマに行われるこの会議には、アフリカやアラビア湾岸、ヨーロッパおよびアジアから参加者が集まる予定。
CCIA局長のマシューズ・ジョージ・チュナカラ博士は、この会議の重要性を強調し、国際労働機関(ILO)による計算について述べた。それによると、およそ240万人の男女および子どもたちが、毎年、不徳な取引業者の犠牲になっているという。
「移住労働者たちの苦しみは、彼らの自国で始まる。不正な斡旋業者や仲介業者が外国での雇用と引き換えに法外な料金を求めている」と、チュナカラ博士は指摘。「移住労働者は途上や目的地の国々で、詐欺やお金の強奪、身体的・精神的な暴力、虐待、そしてあらゆる類の搾取に直面している」と語った。
この会議の主催者の1人でWCC国際問題プログラム幹部のセメグニッシュ・アスフォー氏は、この会議が女性たちの声にも光を当てることになるだろうと言う。「女性たちや少女たちはとりわけ弱い立場に置かれている。なぜなら取引は労働の搾取ないし性的搾取のためにも行われているからだ」とアスフォー氏は言う。
この会議はまた移住と人身取引の世界的な傾向も分析することになるという。
深い論議を通じて、参加者たちは、取引に反対する法律の施行を改善するための、包括的で持続可能な解決策を追求する方法を探究する。また、越境的な人身取引に対抗するための効果的でエキュメニカルな政策提言のネットワークを確立することを通じて、被害者のより良い保護のための解決策を開発するよう試みることになるという。
スリランカの内戦やそれに関連する紛争は、経済発展の遅れを生み出し、スリランカ人の流出増大につながっている。彼らは非正規の出国手段を選び、人身取引の餌食となっているという。この会議はこれらの問題について、スリランカの諸教会の代表者たちとNCC-SLの年次総会で詳細に議論することになるという。
なお、世界福音同盟(WEA)地球規模の人身取引特別委員会も、3月7日~8日にカリブ海のバルバドスで、「人身取引に対する変革の主体としての教会」と題する催し物を開催した。
また、日本のキリスト教団体では、日本キリスト教婦人矯風会の「女性の家HELP」、カトリック難民移住移動者委員会、難民・移住労働者問題キリスト教連絡会などがこうした問題に取り組んでいる。