【CJC=東京】エジプトのムハンマド・モルシ大統領が、自らに強権を与える新憲法案の是非を問う国民投票を12月15日に実施する、と1日発表した。憲法委員会委員との会談で語ったもの。234条からなる新憲法案は、大統領の権限を制限し、人民議会と諮問評議会の権限を拡大するものとしている。新憲法草案を受け取った後、モルシ大統領は「われわれは対立と相違の期間を乗り越え、生産的な仕事に取りかからなければならない」と強調。国民に投票への参加を呼び掛けた。投票で有権者の支持を取り付け、憲法成立を既成事実化するねらいと見られる。
新憲法案は、憲法委員会が11月30日、世俗派やコプト(キリスト)教会を代表する委員が抗議のため欠席する中で承認したもの。欠席者は全体の4分の1を超えたという。
新憲法案には、イスラム法が法律制定の基盤と記載されており、同国では連日、国民による抗議デモが発生している。問題となっているのは、イスラム教に基づく法体系「シャリア」に優先的立場を与える条文。これは事実上、エジプトがイスラム国家となることを意味している。旧憲法にも同様の条文はあったが、象徴的な意味を持つに過ぎなかった。
大統領はまず11月22日、憲法委員会およびエジプト議会上院はいかなるエジプトの裁判所の決定からも護られているという大統領宣言を発表した。これを受け、大統領の母体であるイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」などのイスラム勢力は12月1日、首都カイロ郊外のナハダット・マスル広場で数十万人規模の支持集会を実施した。
エジプト最高憲法裁判所は2日、憲法委員会および議会上院の解散を検討する時期について延期を決定した。マヘル・アル=ブヘイリ裁判長がカイロで明らかにした。憲法宣言の支持者らが最高裁判所の建物を封鎖、判事らの入廷を阻止したため、「心理的、物理的圧力」なく判事が活動できるまで、審理を停止すると発表した。これにより、最高裁とモルシ政権側との対立がさらに深まっている。
反モルシ勢力も広がりを見せ、司法関係者だけでなく、若者、リベラル派、世俗派のほかに、コプト教徒や穏健派イスラム教徒、国民の多数を占める無党派層にも広がりを見せている。11月30日にはカイロ中心部にあるタハリール広場に数万人が集まり、憲法令と憲法草案の破棄を要求している。
反モルシ勢力は、リベラル派、左派グループ、コプト教徒などで連合体「国民救国戦線」を結成。国際原子力機関(IAEA)の前事務局長モハメド・エルバラダイ氏や、大統領選の元有力候補らが、指導的な役割を担っている。
国民救国戦線側は「モルシ氏は力で押さえつける独裁的な手法に走っている。抗議デモを続け、ストライキを計画する。国民投票は、棄権でなく、反対票を投じるよう呼び掛けるだろう」と語った。
新憲法案が、国民投票で過半数の支持を得た場合、新しい議会を選出する統一選挙が行われ、エジプトは「第二共和制」時代に入る。
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